常岡さんによれば、好きと依存の決定的な違いはやめられるかどうか、楽しいかどうかだ。
好きなことは途中で飽きてやめられるほか、取り組んでいるときは楽しいはずだという。しかし依存はその度合いが高くなるほど、楽しんでいる人は少なくなるそうだ。

実際に診察してきた経験則でも、依存度が高い人ほどギャンブルを楽しんではいないという。心境を例えるなら「せざるを得ない」状況が、正しいとのことだった。
「ギャンブル依存症となった人の多くは、不利益や続けることのデメリットも十分理解しています。しかし、やめられない。そんな苦しさを抱える人が多くいるのです」(常岡さん)
行動コストの低いものは危険
ギャンブルへの依存には、どんな要因が影響してくるのだろう。
厚生労働省の報告(2023年度)では、“ギャンブル等依存の疑い”がある人が最もお金をつぎ込んだのが、パチンコ(46.5%)。次点でパチスロ(23.3%)や公営競技が続く。

常岡さんはやりたい衝動が起きてから行動に起こしやすく、時間や場所に捉われずできるギャンブルが依存症になりやすいのでは、と考えているという。
「パチンコ・パチスロ店は駅前にもあり、見ない日の方が少ないでしょう。“行動コスト”が低いギャンブルは、依存しやすいだけでなく、そこからの回復も難しいと考えられます」(常岡さん)
“オンカジ”が危ない理由
パチンコ・パチスロ店は全国各地に存在し、公営競技場はデートスポットとして取り上げられることもある。気軽に行ける分、賭けることへのハードルが低くなっているのだ。
そして“いま最も危ない”というのが、オンラインカジノ。