強い空腹感とともに、「手が震える」「冷や汗が出る」といった経験をしたことはないだろうか。こうした症状は血糖値が下がった状態である“低血糖”の可能性がある。

食後に血糖値が急激に上がって下がる“血糖値スパイク”と並んで、病気のサインとして注目される。綾部市立病院の糖尿病専門医である大坂貴史さんに、低血糖の仕組みや注意点を聞いた。

「低血糖」とはどんな状態?

「低血糖は、血液中に含まれるブドウ糖が少なくなった状態です。医学的には血糖値が70mg/dL未満の状態を呼びます。低血糖になると段階的に次のような症状が表れます」

低血糖は酷くなると意識がもうろうとすることも…(イメージ)
低血糖は酷くなると意識がもうろうとすることも…(イメージ)
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60mg/dL前後:強い空腹感、手の震え、冷や汗、動悸など。体が血糖値を上げようと交感神経を働かせるために起こる

40mg/dL以下:脳への影響が強まり、意識がもうろうとする、けいれんが起こるなど(中枢神経症状)

中枢神経症状が一定時間続くと、脳の後遺症が残ったり、生命に危険がおよぶこともある。

「ただし、手の震えや冷や汗、動悸などは強い緊張やストレスでも起こるため、こうした症状が出たからといってかならずしも低血糖とは限りません。また、健康な人が低血糖を起こすことはほとんどありません」

そのうえで、低血糖が起こるケースにはいくつかあると説明する。

低血糖が起こる主なケース

(1)「食後低血糖(反応性低血糖)」(食後に血糖値が下がりすぎてしまう状態)
(2)糖尿病治療中の人。夜間に低血糖を起こしやすい
(3)膵臓にインスリノーマという腫瘍ができている場合(ただし稀である)
(4)極端な糖質制限
(5)大量の飲酒後に寝た場合

健康診断で異常のない人も知っておきたいのは、(1)の「食後低血糖(反応性低血糖)」だ。