毎年5月14日~20日は、政府などが定める「ギャンブル等依存症問題啓発週間」。

厚生労働省の報告(2023年度)によると、18歳以上~75歳未満の約1.7%に“ギャンブル等依存の疑い”がある。人口推計を基に計算すると、140万人以上が当てはまることになる。

人はなぜギャンブルにハマるのか。昭和大学附属烏山病院でアディクション(依存症)外来を担当する精神科医の常岡俊昭さんと、公益社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」代表の田中紀子さんに聞いた。

脳の快楽物質「ドーパミン」が関係

依存症と聞くと、「好きに歯止めがきかなくなってやめられなくなる」と思うかもしれない。

しかし、常岡さんは「好きの延長線上に依存症があるという認識は間違い」としたうえで、「(すべての)依存症は“依存対象以外のことに興味がなくなる病気”です」と話す。

常岡俊昭さん
常岡俊昭さん
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人は本来さまざまなことに興味を持ち、挑戦する。そこで達成感を得ることなどで“脳内報酬系”と呼ばれる脳の神経が刺激され、快楽物質の「ドーパミン」が放出されるそうだ。

依存対象となったギャンブルで「ドーパミンを出そう」となる(画像はイメージ)
依存対象となったギャンブルで「ドーパミンを出そう」となる(画像はイメージ)

「依存症の人は元々ある『生きにくさ』や『つらさ』に対処するため、脳内報酬系を刺激しようとします。ギャンブル以外でドーパミンが放出されにくくなった結果、ギャンブルでドーパミンを出さざるを得なくなります。やりたくて続けているわけではありません」(常岡さん)