チーム創設2年目で、B1リーグへの昇格をかけてプレーオフに臨んだプロバスケットボールチーム「福井ブローウィンズ」。目標に掲げていた「最短でのB1昇格」とはならず次のステージに向かって動き出したが、その先には“Bリーグの再編”と“アリーナ建設”という大きな壁が立ちはだかっている。

5月4日と5日、B1昇格をかけた試合のパブリックビューイングが福井市内で開かれた。2日間連続で700人の観客が詰めかけ熱い声援を送ったが、プレーオフ準々決勝で敗れ、B1昇格の夢は叶わなかった。

トップリーグ参入条件に“経済面”と“ハード面”
ブローウィンズが「最短でのB1昇格」を掲げる背景には「Bリーグの再編」も理由の一つにあった。Bリーグは2026‐27シーズンから新しい制度に変わることが決まっている。これに伴い、トップリーグ参入にはチームの強さだけではなく経済面やハード面での条件をクリアする必要が出てくる。
現在のBリーグにおけるB1、B2、B3は、2026-27年シーズンからはB・PREMIER、B・ONE、B・NEXTになる。そのトップリーグに入るには、競技の成績ではなく“事業の実力”が問われることになる。具体的には▼年間の売上高が12億円以上▼ホームゲームの平均入場者数4000人以上▼アリーナ5000席以上で基準を満たす設備を確保する、という参入条件が設けられているのだ。

トップリーグへの参入条件を満たすため福井ブローウィンズにとって最大の課題となっているのが、福井市東公園で計画が進むアリーナの建設だ。その計画は順調には進んでいない。
5月2日に開かれた福井市議会の特別委員会では、建設費105億円の見直しをめぐって経済界が説明に立ち「最後の詰めをしている。日々走りながらまとめている状況を理解いただき、夏まで待っていただきたい。Bリーグの基準はどうなのか生々しい交渉をまさに進めている」と理解を求めた。

最短でも4年後に
当初、2027年秋の完成を予定していた福井アリーナは、資材高騰などの影響で最長で1年遅れの2028年秋になる可能性が浮上している。建設の遅れによって福井ブローウィンズがトップリーグに参入できる最短のシーズンは、4年後の2029年-30年のシーズンとなる。
それまでは、現在のB2リーグでファンや地域との信頼を積み上げながらトップリーグに必要なアリーナ基準を満たし、売り上げや観客数の条件をそろえた上で、事業評価をクリアする必要が求められている。

チームを育てるムーブメントが必要に
Bリーグの最高責任者である島田慎二チェアマンは2024年に福井テレビ「newsイット!」の生出演した際、次のように県民に語り掛けた。「応援は選手やクラブにとって力になります。何よりもファンがチケットを買って会場に行くことがスポンサーになってもらえることにつながるので、地元企業にとっても応援の形が見えてきます。そうなると当然、チームはますます大きくなり上のカテゴリーに行くことになり、上のカテゴリーに行けば行くほど多くの人が県外から福井を訪れるので経済効果が生まれたり、アリーナを通した観戦体験でファンが、クラブが地元にあってよかったなと思えるような状況は増えてくる。みんなで育て、そのクラブの盛り上がりのシャワー効果をみんなで享受する。地元のチームをみんなで育てていこうというムーブメントがこの地に起これば、そう遠くないタイミングでトップカテゴリーに行くチャンスはあるんじゃないかと思っています」

福井ブローウィンズがトップリーグに立つには、アリーナ完成までの3年から4年の間に、チームとそれを支える地域が、どう成長していくかが問われている。