「自分が撃ったような気がする」
逮捕から15日目に、Xは取り調べにのらりくらり応じるようになっていた。「こうだったかな、ああだったかな」とか「あれは想像で言ったんです」などと曖昧な供述を繰り返している。現場に行っていないのに何で地図が書けたんだ?と取調官が尋ねると、「想像して書きました」などと言い放ったりした。調べ官が犯行当日まで何度も会っているのに、なぜ端本似の男だって曖昧なことを言うんだ?と聴くと、「うーん」と言って押し黙ってしまう。
一方、端本は相変わらず「長官事件には関与していません。よく覚えていませんが前日から当日朝まで都内のビジネスホテルに泊まっていました」とこれまで通り関与を一貫して否定した。

逮捕から16日経った7月23日、Xに決定的な変化が起きた。「犯人の逃走支援のために現場に行った」との供述から一転、再び「自分が撃ったような気がする」と言い出したのだ。
以下、Xの供述だ。