(3)の「のんびり型」については、「トラブルは早めに開示して対応策を取るべき」という法則をきちんと理解し、実行してもらわないといけません。
「トラブルは1人で抱え込まなくていい。みんなで解決したほうが、あなたにとって良い結果につながる」と、相手にとってのメリットを伝えましょう。
「そこまでやらなければいけないのか?そもそもトラブルを報告するのは義務ではないのか?」と怒りたくなる気持ちも分かります。

しかし、若い頃は、トラブルを報告する必要性や、やり方を、中堅社員ほどには知らないのが普通です。丁寧に教える必要があります。
若手がトラブルなどのネガティブな情報を開示しやすくするには、普段から先輩社員が積極的に「失敗談」を話すことも有効な方法の1つです。
「上司や先輩も、昔はこんな失敗をしてきたんだ」と分かると、若手は安心し、心を開きやすくなります。「失敗談の共有」を、社内研修プログラムに取り入れている企業もあるほどです。
「ネガティブなことを報告したら叱責される」「評価が下がる」と思うと、報告をためらいがちになるものです。
若手から先輩社員までが、ビジネスに必要な情報を気兼ねなく共有でき、何でも言い合える職場環境をつくることも、成果を出すためのリーダーの大事な仕事なのです。

ひきたよしあき
コミュニケーションコンサルタント。大阪芸術大学放送学科客員教授、早稲田大学招聘講師。(株)SmileWords代表取締役。スピーチライター。『5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)、『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)など著書多数。世代や職種を超えて、自分と相手を笑顔にするコミュニケーションの重要性を日本全国に伝えている。