「褒める」は、「根拠のある承認」のこと。

その「根拠」を見つけるには、相手を「見守る」ことが大切です。いつも観察し、過去と今を比べて「成長した」と思える点を見つけることができて初めて「褒める」ことができる。

ただおだてているだけでは、やっているこちらがバカバカしくなってしまいます。

私は、「褒める」とは、「相手の長所や成長ポイントを見つける宝探し」のようなものだと思っています。ただ相手と接しているだけではなかなか見つかりません。

宝の地図を眺めるように相手を観察することが必要なのです。

中村憲剛の考え抜かれた「叱る言葉」

しかし、本当に褒めるだけでいいのでしょうか。厳しくするところがなければ、相手が成長しないのではないか。そんな疑問も湧いてきます。

この疑問に答えてくれたのが、元サッカー日本代表の中村憲剛さんです。私は、日本サッカー協会(JFA)が開催する、Jリーグや日本代表などのコーチや監督を務めるのに必要な資格「Proライセンス」を取得するための講習会で、講師をしています。

そんな関係から、憲剛さんと対談する機会に恵まれました。技術を言語化し、それを若い選手や子どもたちに伝える能力がずば抜けている憲剛さん。

彼は、技術の足りない若手に対して、「できていない」と叱る代わりに、こんなメッセージを伝えるそうです。