舟木さんのところには、こうした親の下で生活している人も相談に訪れるそうだ。
「冷蔵庫は賞味期限が切れたものがいっぱいで、食事もきちんと作ってもらえなかった。きつい言葉や傷つく言葉を投げかけられ、心の傷として残っている。愛情をかけてもらうようなことがなかったのでは、といったお話も聞きます」
発達障害やグレーゾーンの人を支えることが負担となり、子供や配偶者などの近しい人が、心身の不調に陥る「カサンドラ症候群」になってしまうこともある。
親自身も葛藤しているかもしれない
自分の親がグレーゾーンかもしれないと感じたら、家族はどう向き合えばいいのか。

グレーゾーンは特性の影響によって、臨機応変な対応が苦手だったり、思ったことをストレートに表現したりすることもある。親本人はそんな状況に、葛藤しているかもしれない。
お互いの関係を良好に保ちたいなら、まずはそうした「親の苦手で難しいこと」を普段の様子や対応から、できる範囲で知ってほしいと舟木さんは言う。

親の行動や言葉で気になる部分があっても、“苦手で難しいこと”が分かっていれば「今はこういう理由で、こういうことをしたのでは」などと、紐づけて考えることができる。ストレスなどの精神的な負担も違ってくるそうだ。
「(分からない状態で言われると)カチンときますし、ただただ、傷つきます。『なぜこんなことを言うのだろう。私を嫌いなのかな』といった考えにつながってしまいます」
家族が医療機関や専門家のところに訪れ、カウンセリングを受けるのも選択肢のひとつ。グレーゾーンと思われる人に適した、物事の伝え方などを学ぶことができるという。