職場に「意思疎通がちょっと難しいな」と感じたり、「パワーハラスメントのような行動や言動」が目立ったりする上司はいるだろうか。

その背景には、発達障害の「グレーゾーン」が関係している可能性もあるという。

上司がそうかもしれないなら、対処法はあるのだろうか。『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)の著者で、心理学者・カウンセラーの舟木彩乃さんに聞いた。

まずは、「発達障害」と「グレーゾーン」の違いについて触れていく。

グレーゾーンの苦しみ

脳の“さまざまな機能”の発達は、生まれつきの問題を抱えることがあり、それによって“苦手で難しいこと”が出てしまうことがある。この特性(症状)が、医療機関の問診や検査ではっきりと認められた場合が「発達障害」だ。

そして「グレーゾーン」は特性の傾向はみられるが、診断基準のすべてを満たさなかった、あるいは、本人が特性を抱えていることに気づいていない状況だ。

舟木さんによると、グレーゾーンの人たちは“苦手で難しいこと”があると、周囲に打ち明けられずに働いていることも多い。「努力をしているのに理解されにくい」といった、生きづらさも抱えているそうだ。

上司の立場になると厄介

一方で、突出したスキルやアイデア、集中力などの“強み”を持ち合わせていることもあり、職場で出世している人も少なくはない。ただ、管理職としての能力は別物で、周囲が次のような状態に陥ることもあるという。

厄介な上司になりがち(画像はイメージ)
厄介な上司になりがち(画像はイメージ)
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・負担などを考えず、無茶ぶりされる
・役に立たないと思われると、容赦がない
・会議の場などで、持論を一方的に展開する
・業務に対してのこだわりが強い

こうした困りごとや直してほしいことは、上司には言い出しにくいものだ。

上司の“マイルール”に振り回されたり、意思疎通が取れなかったりして、周りがつらくなってしまう可能性もあるそう。「部下の気が弱かったりすると、鬱(うつ)になっていくこともあると思います」と舟木さんは話す。