「親といるとなんだかつらい」「してほしいことをやってくれない」「そこにこだわるの?」。こうした思いや自分とのちょっとしたズレを、親に感じたことはあるだろうか。
『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)の著者で、心理学者でカウンセラーの舟木彩乃さんによると、発達障害は今でこそ認知されているが、昔はそうではなかったという。

それでも今の20~40代からは「自分の親は発達障害のグレーゾーンかもしれない」といった相談を受けると話す。もし、親がそうかもしれないなら、どう向き合えばいいのか。実情や接し方のポイントを舟木さんに聞いた。
学校や職場で“変わった人”扱い
脳の“さまざまな機能”の発達は、生まれつきの問題を抱えることがある。この特性(症状)が、医療機関の問診や検査ではっきりと認められるのが発達障害だ。
一方、グレーゾーンは特性の傾向はみられるが、診断基準の一部しか満たさなかった、あるいは、本人が特性を抱えていることに気づいていない状況だ。どちらも、特性の影響によってコミュニケーションがうまくできない、不注意が多いなどの“苦手で難しいこと”がある。

発達障害の概念は2005年に施行された「発達障害者支援法」もあり、今でこそ認知されているが、これ以前はそうではなかったはずと舟木さんは言う。そのため医療機関を受診するケースは少なく、学校や職場では“変わった人”として、見過ごされてきたそうだ。
家族に心の傷が残ることも
今の50~60代以上はこうした環境だったので、グレーゾーンであったとしても、周りからのサポートはなく、生きづらさを抱えたまま、生活してきたと思われる。
親になっても“苦手で難しいこと”の影響で、次のような問題を常日頃から抱えがちだという。

・感情や言葉が衝動的に出る
・仕事や作業などに没頭する
・整理整頓が難しく、自宅が散らかる
・家事や片づけなどに苦労をする