多くの人にとって毎日の“癒し”の時間になっているバスタイム。

お湯の温度や湯船に浸かる時間を工夫することで、よりストレスを解消しやすくなったり、安眠や肌ケアにつながるなど、さまざまなメリットを期待できる。

そもそもなぜお風呂に入ると気持ちがいいのか? 湯温や入浴時間を変えるだけで、体への効果がどう変わるのか? 日本浴用剤工業会で広報委員を務める刈屋完さんと、事務局の石澤太市さんに“お風呂の基本”を聞いた。

お風呂に入ると気持ちいいのはなぜ?

お風呂が気持ちいい理由は、全身が湯船に浸かることで“血行促進”と“リラックス効果”が生まれることにある。

お風呂には"血行促進"と"リラックス効果"が(画像はイメージ)
お風呂には"血行促進"と"リラックス効果"が(画像はイメージ)
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実はお風呂に入ると、私たちの体には3つの作用が知らず知らずのうちに働いている。

1.体を温めて血行を良くする“温熱作用”
2.圧力をかけて血行を良くする“水圧作用”
3.体を軽くして筋肉の緊張をほぐす“浮力作用”

「体が温まって、血の巡りが良くなることは、多くの方が実感していると思います。実はさらに、水圧によっても血行を促進させています」

一般的な浴槽の湯量は約200L。湯船に浸かっている間はこの水圧の影響で、胸回りは1〜3cm、お腹回りは3〜6cmほど一時的に小さくなっているという。

「お腹が圧迫されると、肺の下の横隔膜が押し上げられて、肺の容量が少なくなります。その影響で、空気を吸い込む量も減ってしまうため、自然と呼吸の回数が増えて、心臓の働きが活発になるのです」

また、リラックス効果を高める上では、浮力の影響も大きいようだ。

「水中では、体の重さが1/9程度になると言われています。体を支えるために、緊張状態にあった筋肉も、自然とほぐれてくれるのです」

体が軽くなることで自然と筋肉もほぐれる(画像はイメージ)
体が軽くなることで自然と筋肉もほぐれる(画像はイメージ)

血行が良くなったり、筋肉が緩むことが、お風呂を“癒やし”につなげているのだ。

リラックスしたいなら40℃以下で

入浴の作用が分かったところで、ここからは工夫すべきポイントの“お湯の温度”と“浸かる時間”だ。