「グレーゾーン」という言葉を聞いたことはあるだろうか。白でも黒でもない、あいまいな状態を表現したものだが、発達障害の分野でも使われることがある。
最近は発達障害やグレーゾーンの傾向にある、上司または部下が職場にいて、彼ら・彼女らが「発達障害またはグレーゾーンかもしれない」「もしくは自分自身がそうかもしれない」といった相談が増えてきているという。
そうした中、もし、職場の部下が“発達障害グレーゾーン”かもしれないなら、上司はどう受け止め、何ができるのか。
『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)の著者であり、心理学者・カウンセラーの舟木彩乃さんに聞いた。“ミスが多い部下”の背景になっていることもあり、接し方にはポイントがあるという。
そもそも「発達障害」と「グレーゾーン」は何が違うのか。
発達障害とグレーゾーンの違い
舟木さんによると、“脳のさまざまな機能”の発達は、生まれつきの問題を抱えることがあり、特性(症状)によって“苦手で難しいこと”が出てしまうことがある。
発達障害はこの特性が、医療機関の問診や検査ではっきりと認められる。一方、グレーゾーンは特性の傾向はみられるが、診断基準の一部しか満たさなかった、あるいは、本人が特性を抱えていることに気づいていない状況だ。
部下がグレーゾーンだと、次のようなミスを繰り返してしまうこともあるという。
・小さな遅刻が多くなりがち
・探し物などで、会議に遅れがち
・自分の好きな仕事だけをしがち
・タスクが中途半端になりがち
・空気を読まない発言をしがち
「(特性は)小学生あたりで、学校での様子などから見つかるケースが多いです。大人になって『自分はそうかもしれない』と思い、医療機関で相談して分かることもあります」