冬場は熱いお風呂に入りたくなるが、そこで注意したいのが「ヒートショック」だ。
救急総合診療に関わる、杏林大学医学部の医師・須田智也さんによると、入浴のタイミングで起きやすく、死に至るケースもあるという。
命を落とさないためにできることはあるのか。ヒートショックが起きる背景や対策を聞いた。浴室周りの環境も関係してくるという。
血圧の急上昇・急降下を引き起こす
須田さんによると、ヒートショックはそもそも病名ではなく、寒暖差が原因で健康被害が引き起こされる現象を総称したものだという。
この記事の画像(9枚)発生しやすい状況は、大きく2つ。
ひとつは「暖かさ→寒さ」を感じた時。急な寒さを感じると、体は熱が奪われないよう血管を縮め、筋肉を震わせて熱を発生させる。その反応が血圧の急上昇を引き起こす。
もうひとつは「寒さ→暖かさ」を感じた時。体温が上がって汗をかくと、体が脱水を起こして血液中の水分が減りやすい。また、手足の血管を広げて熱を発散しようともする。これらが重なると血圧が下がりやすくなり、立ちくらみなどを引き起こすことがある。
「入浴では暖かい部屋から、寒い脱衣所・浴室に行き、お風呂で温まり、出た後に寒くなる、という状態が繰り返されるので、ヒートショックが起きやすいと言われています」
重大な疾患につながることも
特に気を付けたいのが、生活習慣病や高血圧、加齢などで「動脈硬化」が進んでいる人。血管の弾力性が低いために、脳出血、脳梗塞、心筋梗塞、立ちくらみによる失神など、重大な疾患が引き起こされることもあるという。
このほか、高血圧の薬を服用している、長時間の入浴が多い場合も注意が必要だ。