空気が冷たく乾燥している冬は、風邪やインフルエンザの対策をより考える季節だろう。日中の感染対策は意識している人も多いだろうが、「睡眠中の感染症対策」を行っているだろうか?
実は、「睡眠中の口呼吸」によって感染症のリスクが上がるという。
では、どのような対策をすれば良いのか?帝京大学ちば総合医療センター耳鼻咽喉科教授の鈴木雅明さんに教えてもらった。
「鼻はエアコンかつ空気清浄機」
鈴木さんは、「鼻は優れたエアコンかつ空気清浄機」と表現し、「空気や飛沫を経路とした感染症の予防には、鼻で呼吸することがとても重要」と話す。
「口呼吸では、異物やウイルス、細菌などが鼻の粘膜で除去されず、直接気管や肺に入るため、風邪や感染症にかかりやすくなります」
鼻には2つの機能があり、それが感染症予防に力を発揮しているとのこと。
(1)不純物の除去
鼻腔(鼻の内側の空間)の粘膜には、絨毯のようにびっしりと生えた「線毛」がある。この線毛が高速で小刻みに動くこと(粘膜線毛運動)で、細菌やウイルスなどの不純物を除去し、感染症などを防いでいる。

(2)吸った空気の加温・加湿
鼻を通して呼吸することで空気を加温・加湿し、冷たく乾燥した空気がダイレクトに気管や肺に入らないようにしている。肺の中(温度37度、湿度100%と高温・多湿)の状態からかけ離れた冷たく乾燥した空気が直接入ると、肺の換気機能が低下して、細菌やウイルス排出機能が落ち、感染しやすくなる。

そして、次の理由から、夜は口呼吸になりやすくなるという。
・眠っている間は、のどの周囲の筋肉の緊張がゆるみ、意識して口を閉じにくくなる。
・夜は鼻炎などアレルギー性の症状が悪化しやすい。そのため鼻づまりが起こりやすく、鼻呼吸がしにくい。