冬になると、風邪をはじめとした細菌やウイルスによる感染症が流行する。そんな中、仕事や子育てに追われ、病院に行くことができない人にとって心強い味方となるのが症状を和らげる市販の総合風邪薬だ。

しかし、「早く治したい」という思いから、安易に他の薬や漢方薬、サプリメントと併用するのはとても危険。

日本薬剤師会常務理事の富永孝治さんに、併用禁忌の理由や、安全にかつ効果的に服用する方法について聞いた。

併用で副作用発生のリスク

症状を和らげる成分が入った薬を多く服用するほど、効果が早く出るのではないか。そう考えている人は少なくないだろう。

例えば、発熱、咳、鼻水の症状がある風邪を引いたとき、総合風邪薬を飲んで、さらに熱を下げる薬(解熱鎮痛剤)や、鼻水を抑える薬などを飲む、といったことをしたことはないだろうか。

しかし、総合風邪薬に加えて、そうした特定の症状に効く単一成分の薬を飲んでしまうと、「副作用発生のリスクを高めてしまう」と富永さんは注意喚起する。

富永孝治さん
富永孝治さん
この記事の画像(6枚)

「前提として、総合風邪薬には、さまざまな症状に効く成分が含まれています。例えば、成分表の中に『アセトアミノフェン』と記載されている場合は、解熱作用が期待できるということ。そのため、アセトアミノフェンが含まれた解熱剤を同時に飲んでしまうと、『胃腸障害(胃の痛み)』『吐き気』『肝機能異常』などといった副作用のリスクを高めてしまうのです」

アセトアミノフェンの解熱鎮痛剤としては、医療用医薬品では「カロナール」が有名だが、市販薬にも複数あるので、購入時に確認してほしい。

眠気が強く出る副作用もある(画像はイメージ)
眠気が強く出る副作用もある(画像はイメージ)

「また、総合風邪薬には鼻水や鼻詰まりを抑えるクロルフェニラミンマレイン酸塩と呼ばれる成分が含まれることがあります。これにアレルギー反応を抑える薬(抗ヒスタミン薬)を併用すると、主な副作用である『眠気』を強く誘発してしまいます。普段の生活で車を使用することが多い方は特に注意が必要です」

漢方薬は併用OKとNGがある

「上記の成分以外ならいいの?」と思うかもしれないが、富永さんは総合風邪薬を飲んだら自己判断で他の薬を飲むことは止めるべきだという。