生活習慣やスケジュール管理、段取り、仕事でのやりとりなど、日常のなかで自分の“不器用さ”に落ち込むこともあるだろう。
こうした「うまくいかない」などループしがちなことは、自分を責めずに理解して問題を解決していく「認知行動療法」の観点から、少しの工夫でうまくいくという。
自身もADHD特性のある臨床心理士・中島美鈴さんの著書『仕事も人生も、これでうまく回る! 不器用解決事典』(朝日新聞出版)から、休日にごろごろせずに行動に移すための工夫を一部抜粋・再編集して紹介する。
なぜ休日ごろごろしてしまう?
【なぜ、充実した休日にしたいのに、ごろごろ寝てばかりになってしまうの?】
休みの日には、本当はもっと外出していろんなことがしたいのですが、寝てばかり。一旦外に出てしまえば、元気に過ごせるのですが、出るまでが大変です。着替えなどの身支度の前に、溜まった洗濯や、部屋の掃除、クリーニング、食材や日用品の買い物など休日にやるべきことが多くてうんざりして、やりたいことまでたどりつけない。
いや、やるべきこともこなせず寝ています。こんなふうなので、休日はいつもやる気がなくなってしまうのです。なぜ、充実した休日にしたいのに、ごろごろ寝てばかりになってしまうの?
ここでもっと注目したいのは、「外出のハードルの高さ」です。

これには報酬遅延という脳の特徴が関係しています。一般的には、私たちはご褒美(報酬)が早くもらえる行動を好みます。
やってすぐ結果が出るとか、すぐ褒めてもらえることは厭うことなくすぐします。しかし、外出するというご褒美にたどり着く前に、身支度や家事がたくさんあって、外出してパン屋にいくとか、映画を見るといった楽しい用事(つまりご褒美となる報酬)が時間的に遠くにありました。だからやる気が出ないのです。
優先順位を決めて実行を
朝起きてからなるべく早く報酬(例:大好きなパン屋)にたどり着くためには、することを減らすといいでしょう。

まず、身支度を最小限にすることで、時間を節約できます。身支度のいくつか(例:洗顔、スキンケア、ヘアセット、着替えなど)の中で優先順をつけて3位までのもののみ実行してみるなどもいいでしょう。
また、家事は他の時間帯に行うようにします。たとえば、掃除や洗濯は必ず朝出かける前でないとだめでしょうか?自分の常識や当たり前を疑うことが大事です。また、ご家族と同居の方は、誰かに家事を手伝ってもらうことで、負担を分散できます。