目の前に仕事をしていると、なぜか別の仕事のことを思い出してそれが気になってしまう。それを繰り返している自分にモヤモヤすることもあるだろう。
自身もADHD特性のある臨床心理士・中島美鈴さんの著書『仕事も人生も、これでうまく回る! 不器用解決事典』(朝日新聞出版)では、そんなループから抜け出し、毎日が少し楽になる方法をまとめている。
なぜ、一つの仕事をしている最中に、他の仕事のことが気になるのか。その解決策を一部抜粋・再編集して紹介する。
他の仕事も気になってしまう
【なぜ、一つの仕事をしている最中に、他の仕事のことが気になるの?どの仕事にもしゅうちゅうできない…。】
●ユイさん(30代、ウェブライター)のぼやき
私は仕事で常に複数のプロジェクトを抱えています。最も締め切りの早いプロジェクトAの業務に取り掛かっている最中にも、他のBやCが締め切りに間に合うか心配になり、集中できません。
とりあえず、Aのことで頭がいっぱいで、BやCについては何をどのような計画で進めていくかはまだ決めていないんです。そんな余裕がなくて。でもそのせいで実際できるのかどうか時折不安になり、本当に間に合うだろうか……と休日もソワソワしてしまい、ゆっくり休めません。
不安は2種類に分けられる
一般的に、不安は2種類に分けられます。現実的な不安と非現実的な不安です。
後者の場合はいわゆる心配性と呼ばれるもので「考えすぎ」「心配しすぎ」といった、実際よりも本人が悲観的なイメージを将来に対して抱いていることから生じています。
この不安は、過去に失敗体験の多い人では不安障害などの二次障害になっている場合があり、治療の対象になるでしょう。
しかし前者は「天気予報どおりに非常に勢力の強い台風が近づいてきたので、場合によっては避難を余儀なくされる」といった起こりうる可能性の非常に高い将来に対する正常な感情です。
ユイさんの場合はこちらに該当します。

ですから、不安を軽減するような治療的アプローチではなく、避難の準備をするなどの現実的な対処が必要です。
具体的にいえば、ユイさんは、プロジェクトを三つも抱えながら、それらを締め切りまでに完了させる計画を立てていないことこそが問題であり、不安が生じてもおかしくない状況といえます。