50歳を超えて目に不調がある人は、視野の中央に異常が起こる目の病気「加齢黄斑変性」の可能性がある。50歳以上の100人に1人が発症するといわれ、完治が難しいというこの病気の予防策や症状のチェック方法を専門医に聞いた。
50歳以上の約100人に1人が発症
話を聞いたのは、福井県済生会病院の棚橋俊郎医師。症状は視野全体よりも視野の中心で起こり「片目ずつ発症する場合が多く、片目で見ると物が歪んで見えたり、線が曲がって見えたり、中心が暗く見えたり、一部が欠けて見えたりする」と説明する
50歳以上の約100人に1人が発症するといわれ、高齢になるほどその割合は増加する。
メカニズムはこうだ。
「眼球の中には光を感じる網膜があるが、その中心にある黄斑と言う部位で細かい字を見ている。ところが黄斑に老廃物が溜まると炎症が起き、細胞が傷むことで見えにくくなる」(棚橋医師)「場合によっては1年から2年で急激に進行してしまう人もいる」という。
加齢に加え、一番の原因は喫煙
原因は、加齢のほか喫煙や紫外線、糖質や脂質の多い食生活などが挙げられる。
症状はいずれも視野の中央が▼歪んで見える▼暗く見える▼欠けて見える。
「視野の中心が見えなくなる病気なので、見たいところが見えない、字が読めないことがかなりのストレスになり日常生活の質を下げてしまう」(棚橋医師)
両目で見ていると気づかないことがあるため、片目ずつチェックすることがポイントだ。
治療で最も有効とされているのが、目に直接注射する薬物治療だ。
初めは月に1回の注射を3回から5回続け、その後は病態に応じて間隔を調整していく。
棚橋医師は「完治は難しい」とするものの「治療が必要ないレベルになることはある。この病気は一生付き合っていかなくてはいけない病気」と話す。
視界にゆがみがある人は早期に受診を
大切なのは、今ある視力を保つこと。
最も重要なのは禁煙。さらに、バランスの取れた食生活や紫外線対策が重要だ。
棚橋医師は「早期発見が大事」とし、「視野が歪んでいておかしい、目がかすむといあった症状があれば、まず眼科を受診したほうがいい」と呼び掛ける。さらに「50歳以上の人に多いので、年に1回眼科を受診すること」を勧めている。
禁煙、バランスの取れた食生活、紫外線対策を心掛け、異変を感じた際はすみやかに眼科を受診しよう。
