つまり、アニサキス症は加熱や冷凍でアニサキスを殺すことによって防ぐことができるが、アニサキスアレルギーの場合は、中途半端な加熱や冷凍では、アニサキスのタンパク質が壊れずに残ってしまうこともあるため、アレルギーが発症する可能性があるのだという。 

アニサキスの幼虫。体長は2~3cmで、肉眼でも十分に見える(画像提供:国立感染症研究所)
アニサキスの幼虫。体長は2~3cmで、肉眼でも十分に見える(画像提供:国立感染症研究所)

どのような症状が出るのだろうか。鈴木さんによれば、いくつかのパターンがある。

「典型的な症状があるわけではないのですが、おそらく多いのはじんましんですね。腹痛が出る場合もあります」 

なかでも一番注意が必要なのは、「アナフィラキシー(ショック)」だと鈴木さんは言う。 

「アナフィラキシーは、息が苦しくなる、脈が速くなるといった症状が特徴です。そしてより重篤なアナフィラキシーショックは、血圧が下がり意識を失ってしまうことがある状態です。これまで統計上、アニサキスアレルギーによるアナフィラキシーショックで亡くなった人はいませんが、駅のホームや料理中に刃物を持った状態で倒れてしまうなど、二次被害などにより生命の危機に瀕した事例も経験しています」 

なりやすい人は分かっていない  

鈴木さんは「日本では人口の0.9%(約100人に1人)がアニサキスアレルギーと診断される可能性がある」と推測するが、どのような人がなりやすいなど、傾向はあるのだろうか。