100歳以上の「百寿者」は2000年には1万3000人ほどでしたが、2023年には9万2000人を超えるまでに増加しており、団塊の世代が100歳を迎える2024年には53万人に達するという予想もあります。
予想される介護ヘルパー不足
すでに私たちの身のまわりでは、70代の子どもが90代の親の介護をしたり、80代の高齢者夫婦間で介護し合ったりといったケースがめずらしくなくなっています。
介護保険制度は、長寿化によるこのような変化も、十分に織り込むことができていなかったのかもしれません。
また周辺の環境に目を転じれば、人手不足は年を追うごとに深刻化しています。
介護ヘルパーの有効求人倍率は2022年度に15.53倍でした。これはハローワークに登録して仕事を探している人1人に対して、求人が15件あるということを示します。つまり、求職者の数に比べて求人の数が圧倒的に多い状況です。
また、2022年度の「介護労働実態調査」によると、訪問介護のヘルパーの平均年齢は54.7歳で、60歳以上が38.1%、このうち70歳以上が13.5%でした。
人手不足と高齢化はあらゆる分野で見られる課題ですが、介護分野では特に大きな問題となっています。
さらにコロナ禍以降、人手不足の傾向は顕著になっており、介護保険サービスの十分な提供が担保されるのかについても注視していく必要があると思います。
高齢期の問題を考える際のベースとなる介護保険制度は、今さまざまな課題に直面しているのです。

沢村香苗
日本総合研究所創発戦略センター シニアスペシャリスト。精神保健福祉士、博士(保険学)。2014年に株式会社日本総合研究所入社。2017年よりおひとりさまの高齢者や身元保証サービスについて調査を行っている