たとえば、夫が車の運転を担っている場合、その夫が入院すれば、妻は車の運転ができず、外出が難しくなります。そうなると、入院中の夫へのサポートも十分に提供できないかもしれません。
“閉じた”生活が続く夫婦は危険
妻が掃除、洗濯や食事の準備などの家事をすべて担っているという高齢者夫婦はめずらしくありませんが、いざ妻が入院すると、夫は自力ではご飯を炊くことさえできず、うろたえるケースも多々あります。
また、夫婦どちらも介護保険サービスを使うようになることも考えられます。
先に一方が介護保険サービスを使っているとしても、もう一方が新たに介護保険サービスを使うとなれば、また介護保険の利用申請など一から手続きが必要です。

いずれにしても、高齢の夫婦だけの生活は、まるで薄氷の上を歩いているようなものです。一見安定しているようでも、実際には日に日に氷が薄くなっていくのです。
子どもがいても遠方に住んでいる場合や、地域の人たちとの関わりが少ない場合など、夫婦2人だけの“閉じた”生活が続いている状態は、特に危険だといえます。
「世帯主が65歳以上の世帯のうち、7割近くが独居または夫婦のみ」というデータの怖さが伝わったでしょうか。
さらに総務省統計局の「令和2年 国勢調査」のデータからは、ほとんどの都道府県では人口が減少傾向にあることもわかります。