2016年の熊本地震を経験し、「家の状態が生死分ける」ことを痛感した、防災収納インストラクラーの松永りえさん。
収納において「見た目」や「機能性」を重視していたため、テレビが倒れてしまったり、ペンダントライドが割れたりしてしまった。防災リュックも役に立たず、水の備蓄も6本だったという。
そうした体験を経てたどり着いたのが、家の「安全性」。防災収納インストラクターとして、日々の暮らしを大切にしながらも、災害に強い“正しい収納”を広める活動をしている。どうすればインテリアにこだわりながら防災ができるのか。著書『地震に強い収納のきほん』(扶桑社)から一部抜粋・再編集して紹介する。
落ちる・倒れる・移動に備えを
防災収納では、インテリアを諦める必要があると思っていませんか?そんなことはありません!
もしものために暮らしが犠牲になっては、日々の楽しみや笑顔がなくなってしまいます。食器や推しグッズなど、好きなものを飾ると気分が上がりますよね。私も大好きな北欧雑貨を飾っていますし、観葉植物も育てています。
まずは、「落ちる」「倒れる」「移動する」に備えましょう。家じゅうがものであふれていると危険なので、飾るスペースは限定して、その中で思いきり楽しんでください。
そして「地震が起きたら離れる場所」と決めて、家族で共有しておきます。

また、インテリアの有無にかかわらず、地震の際には「安全スペース」に逃げることを意識しておきましょう。安全スペースとは、身の安全を確保できる場所のこと。
なにも落ちてこない、倒れてこない、移動してこないエリアを家の中につくり、できれば備蓄品を用意しておきます。そして、緊急地震速報が鳴ったら「ここに集まる」と決めておくのです。
安全スペースをつくることで災害時も慌てずに行動でき、また普段から災害への意識も高まります。防災収納も、まずは安全スペースをつくることから始めるとよいかもしれません。