朝起きたらまぶたが腫れぼったい…。
夕方になると靴がきつくなる…。
運動をした後に手足がパンパンになる…。

冷えやだるさ、食欲不振など、いろいろある夏の不調のなかでも、地味に嫌なのが、「むくみ」ではないだろうか。むくんでいると、体に違和感があって不快なだけでなく、見た目も太ってみえるのでメンタル面にもよくない。

やっかいなむくみを撃退して、体調も見た目もスッキリするためにはどうすればいいのだろうか。

産婦人科医でヨガ指導者の高尾美穂さん
産婦人科医でヨガ指導者の高尾美穂さん
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産婦人科医でヨガ指導者の高尾美穂さんによれば、むくみ対策には「塩分」と「カリウム」の取り方がポイントになるという。

「むくみ」を取る二つの方法

「夏はむくみやすい季節です」と高尾さん。

その主な原因は、たくさん汗をかいた後に、水やお茶などの塩分が入っていない飲み物を取りすぎてしまうことだという。

通常、摂取した水分は血管の中に入り、様々な臓器に運ばれ、最後には尿になって排出される。

ところが、汗をかいて水分とともに塩分などのミネラルを失い、そこに塩分が入っていない飲み物を取りすぎると、体内の塩分濃度が薄まる。すると、水分が血管の中に入りにくくなり、血管の外側にある細胞と細胞の間の液体(細胞外液)に流れて溜まり、排出されにくくなってしまう。これがむくみのメカニズムだ。

夏は特に気になる「むくみ」(画像はイメージ)
夏は特に気になる「むくみ」(画像はイメージ)

では、むくみを取るにはどうすればいいのかというと、「汗をかくくらい体を動かして、スポーツドリンクや経口補水液などで、しっかり水分と塩分を取ること」が大切だという。

それによって、余計な水分が汗や尿としてしっかり排出されるのだ。スポーツドリンクの甘さが気になる人は、塩タブレットや塩飴で塩分を取ってもいいとのこと。

カリウムが取れる夏野菜(画像はイメージ)
カリウムが取れる夏野菜(画像はイメージ)

「カリウム」を含む野菜や果物を取ることも有効だという。カリウムは、体の水分やナトリウム(塩分)を調整し、余分なものを排出する働きがあるミネラルの一種で、芋類や大豆に含まれる。

「カリウムは、キュウリ、ナス、トマト、スイカといった夏に旬を迎える農作物にも含まれているので、積極的に取ってください」

むくみ撃退の誤解

最後に、誤解されがちな「むくみ撃退法」の二つのポイントを教えてもらった。

まず一つ目は、前出の「カリウム」はサプリメントよりも、できるだけ食事で取ったほうがいいということ。

「医学的に、カリウムを急速に投与すると不整脈や心停止を起こすことが知られており、あくまで食品から取れるカリウムを意識的に取ることが望ましいのです」

「カリウムはサプリより食事で」と高尾さん(画像はイメージ)
「カリウムはサプリより食事で」と高尾さん(画像はイメージ)

二つ目は、「むくみ取り」と題したストレッチやマッサージといったコンテンツを見かけることも多いと思うが、このようなストレッチやマッサージは、根本的な解決にはならないということだ。

「例えば、ずっと立っていると足がむくみます。その状態で横になれば水分が移動するので、むくみが引いたような気がしますが、体の中にある水分量が変わるわけではないのです」

つい、ラクに解決できそうな方法に飛びつきたくなるが、むくみのメカニズムを知れば、解決方法も納得だ。しっかり体を動かして汗を出し、水分と塩分を取って体を巡らせること。そしてカリウムを含んだ野菜や果物を積極的に取ることを心がけていきたい。

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高尾美穂(たかお・みほ)
産婦人科専門医、医学博士、スポーツドクター、ヨガ指導者。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。 婦人科部門責任者として女性のライフステージ・ライフスタイルに合った治療法を提示し、選択をサポート。マターナル(周産期)ヨガも提供。 著書に、『生理周期に合わせてやる!超効率的フェムテックダイエット』(池田書店)、『超かんたんヨガで若返りが止まらない! 老けたくないなら、骨盤底筋を鍛えなさい』(世界文化社)など。

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