さらに加賀さんは、寝具の選び方にもポイントがあると指摘する。人間はひと晩でコップ1杯ほど(約200ml)の寝汗をかく。その汗をそのままにすると、蒸れて寝苦しく感じる原因になるそうだ。

寝床は「敷きパッド」でカラッ

それを解決するのが、敷き布団やマットレスの上に付ける「敷きパッド」。湿気の吸い取りや発散に優れたものを選ぶと、寝床をカラッと乾燥した状態に整えやすいという。

側生地と中綿はこの部分(提供:加賀さん)
側生地と中綿はこの部分(提供:加賀さん)

加賀さんのお勧めは、側生地(パッド表面)が「綿、麻、レーヨン」、中綿(中身)が「麻、羊毛」で作られたタイプで、湿気の吸収や発散に優れるという。シリカゲルなどを原料とした「吸湿材」を使っているタイプもあり、こちらは消臭もしてくれるそうだ。 

「接触冷感」は“数値化”されている

夏場は触れるとひんやりする「接触冷感」の寝具を使いたくなるが、ここには注意点もあると加賀さんは指摘する。あくまで“接触時にひんやり感じる効果”なので、商品によっては期待外れに感じることもあるという。

「寝ている時は動きが少なく、肌と生地の同じ部分が接触し続ける時間が長くなりがちです。肌と生地の温度差がほぼなくなり、生暖かく感じられるようになります」

ひんやり感は指標で数値化されている(画像はイメージ)
ひんやり感は指標で数値化されている(画像はイメージ)

接触冷感のひんやり感には「q-max値」という指標があり、数値が大きいほど冷たさを感じられるという。加賀さんの感覚では…
・0.4以上:「おぉっ!」となるくらい明確に冷たさが感じられます
・0.3以上:「まあまあひんやりしてるな」と感じられる数値です
・0.2以上:「若干ひやっとするかな?」くらいです
とのこと。

寝具に使われる代表的な素材の特徴(提供:加賀さん)
寝具に使われる代表的な素材の特徴(提供:加賀さん)

寝具に使われる代表的な素材のq-max値は、
・綿 (コットン)と絹(シルク)「0.3」
・ポリエステル、ナイロン、レーヨン「0.3~0.35」
・麻(リネン)とジェル「0.35~0.4」
・ポリエチレン「0.45~」
といった具合だ。

ただ、ポリエチレン、ジェル、ポリエステル、ナイロンは湿気をほぼ吸収しないため寝汗が蒸れやすい。ひんやり感と寝心地を両立させたいなら、麻、絹、綿、レーヨンで作られたものや、通気性が良い「3Dメッシュ加工」が施されているものを選ぶと良いそうだ。

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