マットレスや枕などにこだわってみたり、スマートデバイスで自分の睡眠を記録してマネジメントしてみたり、昨今睡眠への関心は強まっている。

“睡眠研究の第一人者”で、筑波大学国際統合睡眠医学研究機構副機構長の櫻井武さんは「睡眠時間が短くてもなんとかなるとか、深い眠りで短くてもすむ、などのチートなテクニックは残念ながら存在しない」とし、「とりあえず少しでも眠ること」だという。

著書『睡眠と覚醒をあやつる脳のメカニズム~快眠のためのヒント20~』(扶桑社新書)から、質のいい睡眠をとろうとするほど眠れなくなることについて、一部抜粋・再編集して紹介する。

あなたは退屈な会議でも日中起きていられる?もし起きていられれば「十分眠れている」そうだ。

スマホアプリは参考程度で

睡眠への関心の高まりもあってか、ウェアラブルデバイスやスマホのアプリなどで睡眠をモニタリングする人が増えているという。

評価すること、評価されることが当たり前の社会だ。自分の睡眠がいいのか悪いのかを知りたくなる気持ちも理解できる。

データの結果を見て一喜一憂しないこと(画像:イメージ)
データの結果を見て一喜一憂しないこと(画像:イメージ)
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しかし、睡眠を正確に評価するには本来、脳波を測定して評価する必要がある。スマホアプリはあくまでも参考程度だと把握しておこう。

また、「評価しよう」と思うこと自体が睡眠に対してネガティブに働く。スマホアプリのデータを日々チェックして一喜一憂することは、不眠恐怖、不眠不安を引き起こしかねない。

睡眠が十分か気になるのであれば、日中の活動に着目しよう。退屈な会議の間も居眠りすることなく、帰宅する電車に揺られながらも起きていられたのなら、あなたは十分、ちゃんとした睡眠がとれている。何も気にすることはない。

よく寝ているのに不眠に悩む人

アラームが鳴る前に自然と目覚め、二度寝の欲求もなく、スッキリと起きることができた朝は体が軽く、前向きな気持ちで1日をはじめることができる。

みなさんは、そんな朝がどのくらいあるだろうか。