睡眠時間は取れているはずなのに、日中は強い眠気に襲われる、疲労感がある…。そんな悩みを抱えている人も多いと思うが、もしかしたら「いびき」が大きく関係しているかもしれない。 実は眠りの視点でも良くない状態という。

いびきが出るメカニズム(提供:加賀さん)
いびきが出るメカニズム(提供:加賀さん)
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そもそも「いびき」とはなんだろうか? 上級睡眠健康指導士の加賀照虎さんに聞くと、その正体は吸い込んだ空気が“喉を通ることで鳴る”振動音。鼻から喉までの「上気道」が圧迫され、狭くなることで起きる。

「いびきが出る=呼吸しづらい状態になっているということです。睡眠の質は低くなりますし、体のコンディションも悪くなります」(以下、加賀さん)

日中の眠気を引き起こすことも(画像はイメージ)
日中の眠気を引き起こすことも(画像はイメージ)

いびきはひどくなると日中の強い眠気や集中力の低下、睡眠中に10秒以上の呼吸停止が繰り返される「睡眠時無呼吸症候群」 を引き起こすこともあるという。

呼吸が止まると血液中の酸素濃度が下がり、これを補うために心臓の働きが強まって高血圧になりやすいほか、動脈硬化や脳梗塞など、さまざまな生活習慣病のリスクが高まるとされる。自分自身だけではなく、家族のいびきがうるさくて悩んでいる人も少なくないだろうが、そんな恐るべき、いびきの対処法を聞いた。

録音して「自分のいびき」を聞こう

加賀さんによると“いびき対策”の第一歩は「自分のいびき」を聞いてみること。音の状態や発生する頻度が分かると、客観的な視点で対応を考えやすくなるという。

『Pokémon Sleep』は睡眠の状態をゲーム感覚で記録できる((c)2023 Pokémon. (c)1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. Pokémon Sleep is developed by SELECT BUTTON inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です)
『Pokémon Sleep』は睡眠の状態をゲーム感覚で記録できる((c)2023 Pokémon. (c)1995-2023 Nintendo/Creatures Inc./GAME FREAK inc. Pokémon Sleep is developed by SELECT BUTTON inc. ポケットモンスター・ポケモン・Pokémonは任天堂・クリーチャーズ・ゲームフリークの登録商標です)

スマホアプリでの録音が手軽で、お勧めは『Pokémon Sleep』。いびきや寝言を音声データとして録音でき、睡眠の状態をゲーム感覚で記録できるので続けやすいとのことだ。 

自分は大丈夫と思っている人も、起きた時に疲れや喉の乾燥を感じるなら要注意。いびきをかいている可能性があるので、録音してみよう。

「通常のいびきは『グォォ』という感じですが、睡眠時無呼吸症候群では『グォォ……(数秒停止)…ッゴァァ!!!』といびきが停止するタイミングがあります。こうしたいびき音が聞こえたら、音声データを持って睡眠外来がある医療機関などを受診することも考えましょう」 と加賀さんは指摘する。

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「寝る姿勢」でいびきは軽減できる

いびきを誘発する、上気道の圧迫はなぜ起きてしまうのか。加賀さんによると原因は8つ。

(1)肥満
(2)加齢
(3)顎の骨格
(4)寝ている時の姿勢の悪さ
(5)口呼吸
(6)扁桃の肥大
(7)寝室の温湿度
(8)アルコール・たばこ・薬

このうち(1)~(4)に心当たりがあるなら、眠る際の姿勢(体勢)を変えてみよう。

(1)肥満 
首回りや舌に脂肪がついて肥大している
(2)加齢
舌や口蓋垂(のどちんこ)の筋力が落ちている
(3)顎の骨格が小さい、細い、噛み合わせが悪い
睡眠中の舌の収まりが悪く喉に落ち込む
(4)寝ている時の姿勢の悪さ
睡眠中に顎を引いている首が反りかえる

枕を2つ使った上体の起こし方(提供:加賀さん)
枕を2つ使った上体の起こし方(提供:加賀さん)

これらの場合は「上体が若干起きる」または「体全体が横向き」の姿勢で眠ると、上気道が圧迫されず、呼吸もしやすいそうだ。 ただ、上体を起こそうと「枕を高くする」のはNG。

加賀さんは「『上体が若干起きる』と『枕を高くする』は違うので注意してください。柔らかめの枕を2つ並べ、そこに上体を預けるようにして寝ると、ちょうど良い姿勢になりやすいです」と呼び掛けている。

寝相が気になるなら、頭部や背中に15度~20度の傾斜がある「ポジショニング枕」を使うのもアリ。姿勢をコントロールしやすくなり、いびきの軽減につながるという。

口呼吸や温湿度…生活習慣も大切

いびきを引き起こす(5)~(8)の原因には、生活習慣が関わってくる。

(5)口呼吸
乾燥、ほこりや菌の付着で喉が炎症している
(6)扁桃の肥大
喉のリンパ組織(扁桃)が腫れている
(7)寝室の湿温度
温度や湿度が低く、鼻詰まりを起こしている
(8)アルコール・たばこ・薬
お酒やたばこ、服用する薬が影響している

睡眠中の鼻詰まりや口呼吸を防ごう(画像はイメージ)
睡眠中の鼻詰まりや口呼吸を防ごう(画像はイメージ)

加賀さんが特に「注意してほしい」と指摘するのは、睡眠中の「鼻詰まり」と「口呼吸」。鼻詰まりが起きると口呼吸になりやすく、口呼吸によって上気道が狭くなり、いびきが出やすくなるという“悪い連鎖”が起きるという。  

空気が乾燥すると鼻詰まりの原因となるので、睡眠環境を整える意味でも、寝室の室温は「夏場は26℃前後、冬場は19℃前後」、湿度は「年間を通して55%前後」をキープしよう。手軽に試せる「鼻腔拡張テープ」や「口閉じテープ」を貼って眠るのもお勧めだと加賀さんは話す。

お酒やたばこが影響している可能性も(画像はイメージ)
お酒やたばこが影響している可能性も(画像はイメージ)

加賀さんによると、喫煙者は非喫煙者と比べていびきの発症率が2倍以上との相関関係が認められているなど、たばこやアルコールがいびきの原因となることもあるという。改善しない場合は、医療機関での相談も考えよう。

眠れないなら「4-7-8呼吸法」

いびきに悩んでいると「寝るとまたいびきをかいてしまうのでは…」と眠れなくなることもあるはず。加賀さんは「そうした時は『4-7-8呼吸法』を試してください」とアドバイスする。

寝ながらゆったりと呼吸してみよう(画像はイメージ)
寝ながらゆったりと呼吸してみよう(画像はイメージ)

この呼吸法は「4秒」で鼻から息を吸い、「7秒」息を止めて、「8秒」で口から吐き出すというもの。手軽にできるので、眠れない人全般にお勧めできるという。

「頭で数字を数えることに集中するので、嫌なことを考えにくくなりますし、深呼吸に近いのでリラックスもできます。寝落ちできる人もいるでしょう」

加賀さんは「いびきは軽く捉えられがちですが、心当たりがあるなら早急な確認や対策をしてください」と訴える。健康のためにも家族や自分のいびきをチェックし、対策してみてはいかがだろうか。
 

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快眠・寝具について幅広い情報を発信する、上級睡眠健康指導士の加賀照虎さん
快眠・寝具について幅広い情報を発信する、上級睡眠健康指導士の加賀照虎さん

加賀照虎
睡眠健康指導士。3,000万PV超の「快眠タイムズ」にて睡眠学に基づいた快眠・寝具情報を伝える。朝の情報番組にてストレートネックを治す方法を紹介。現在、雑誌、テレビ、ウェブなどの幅広いメディアで快眠の啓発活動に取り組んでいる

プライムオンライン特集班
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