3月21日からカナダ・モントリオールで行われる世界フィギュアスケート選手権。

アイスダンスからは、 “チームココ”こと小松原美里・小松原尊組が出場する。

今季はアイスダンスで、ニューカップルの結成が相次いだ。

“あずしん”こと田中梓沙・西山真瑚組、“うたまさ”こと吉田唄菜・森田真沙也組らの誕生により、日本アイスダンス界は盛り上がりを見せている。

世界選手権の代表をつかむのが激戦だったシングル。一方アイスダンスも、1枚の切符を求めて年末の全日本選手権を争った。

5度目の頂点に輝いた2023年の全日本選手権
5度目の頂点に輝いた2023年の全日本選手権
この記事の画像(9枚)

その結果、全日本選手権で決まることはなく、上位3組が2月の四大陸選手権に出場することに。

「日本勢最上位組が世界選手権代表に内定する」という、異例の選出方法となった。

この四大陸選手権の結果を経て、結成8年目を迎える小松原組が、練習拠点とする“地元”モントリオール開催の世界選手権代表を勝ち取った。

5度目の四大陸で力を発揮

昨年末の全日本選手権で接戦を制し、5度目となる涙の優勝を果たした小松原組。

だがニューカップル2組の若手の台頭により、世界選手権代表決定が持ち越しとなった。

そんな決戦の舞台となったのが、上海で行われた四大陸選手権だ。

四大陸で公式練習を行う小松原組
四大陸で公式練習を行う小松原組

本番のリンクで公式練習を終えた美里は、大会に向けて心境を明かした。

「もちろん全日本で決まればうれしかったという気持ちはあります。ですが、四大陸選手権に選んでいただいたからには、自分たちの“ここでのベストを尽くす”という目標は変わっていないので、やり切りたい」

小松原美里はイメチェンした髪形を披露
小松原美里はイメチェンした髪形を披露

さらに美里は、この大会へ向けて髪形をイメチェン。「ずっとやってみたかった」という髪形で挑んだ。

四大陸に向けてブラッシュアップしたリズムダンス
四大陸に向けてブラッシュアップしたリズムダンス

迎えた大会2日目に行われたリズムダンスでは、今大会へ向けて大幅にブラッシュアップしたという『ゴーストバスターズ』を披露。

2人の豊かな表情とコミカルな動きで盛り上がり必至のプログラムを、意外にも初めてだという上海の舞台で滑り切った。

パーソナルベストを更新しキスクラで抱き合う“チームココ”
パーソナルベストを更新しキスクラで抱き合う“チームココ”

国際大会のパーソナルベスト更新となる71.29点をマークし、日本勢最高の6位で好スタートを切った。

演技後に話を聞くと、2人はこう振り返った。

「最初から強いスケートを今日はしたと思います。強いスケートが演技構成点(PCS)獲得だったり、出来栄え点(GOE)獲得につながったかなと、先生と話しました」(美里)

「今日は初めてリズムダンスを国際大会で70点以上になりました。すごくいいこと。こういったスケートで結構良い点数が出たので、すごく良かったと思います」(尊)

圧巻のフリーダンス、自己ベスト更新

世界選手権代表権獲得へ向けて一歩リードした“チームココ”。

決着のフリーダンスは、情熱がテーマのプログラム『Loving you』を披露。

圧巻の演技で会場を魅了したフリーダンス(2024年四大陸)
圧巻の演技で会場を魅了したフリーダンス(2024年四大陸)

2人にしか出せない情感たっぷりの美しいスケーティングで観客を魅了した。

冒頭、息ピッタリのツイズルや終盤の見せ場となるリフトなどで最高評価のレベル4を獲得。リズムダンスに続き、圧巻の演技で自己ベスト更新の111.41点をマークした。

演技を終え2人に話を聞くと、手応えを感じた大会だったと語る。

フリーダンス後、笑顔でインタビューに応じた2人
フリーダンス後、笑顔でインタビューに応じた2人

「グループの中の4番滑走ということもあって、すごく緊張を高めた自分がいました。また1つ違った戦いでしたが、乗り越えられたと思います。上海で初めての大会を笑顔でスタートして笑顔で終わることができました。応援してくださっている皆様のおかげです。ありがとうございました」(美里)

「今季は70点のリズムダンスと110点以上のフリーダンスの目標があった。この大きなチャンピオンシップスレベルの大会で、それができたのはとても満足で、いい演技ができたという気持ちがあります。今日は自分のベストを出せた」(尊)

今大会で目標の自己ベスト更新を達成し、日本勢最上位の8位で大会を終えた2人。

世界の舞台でベテランの意地を見せ、世界選手権代表の座を勝ち取った。

“地元”で迎える3年ぶりの大舞台

昨季の世界王者マディソン・チョーク&エバン・ベイツ組(米国)など、世界中の強豪カップルが集うカナダの「アイス・アカデミー・オブ・モントリオール」に拠点を置く小松原組。

全日本で激闘を繰り広げたあずしん”こと田中・西山組はチームメイトでもある。

若手の台頭に刺激を受けながらもリスペクトし、何よりもフィギュアスケートでそれぞれのベストを尽くすというスポーツ性を愛しているのが小松原組だ。

その2人が世界の舞台で実力を見せつけ、3年ぶり3度目となる世界選手権出場を迎える。

世界選手権は「笑顔で滑りたい」と意気込む
世界選手権は「笑顔で滑りたい」と意気込む

「自分たちらしく氷の上で練習してきたことを出せて、また1つ、自分たちの成果が結果に表れて自信がつきました。世界選手権はすごく久しぶりで、今まで仲間や先輩を応援しながらいいなという気持ちでした。

日本の中ではベテランでも、世界の中ではまだまだ。これから今回の大会で得た課題を1つ1つ練習でクリアして、本番を地元モントリオールでまた笑顔で滑りたいなと思います。頑張ります」(美里)

「2020年のモントリオールでの世界選手権はコロナで出られませんでした。

今回は4年越しのリベンジをしたいという気持ちがあるので、練習していい演技をしたいという気持ちがあります。

今季はいいカップルがいっぱいいるので、勝負になると思いますけど、頑張りたいです」(尊)

結成8年目でもなお、常に試行錯誤し、挑戦し続ける“チームココ”。

念願の舞台で、さらに限界を超える2人の演技に期待したい。

世界フィギュアスケート選手権2024
3月22日(金)男女ショートよる7時~
3月24日(日)男女フリーよる7時~
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/world/index.html

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班