カナダ・モントリオールで行われた世界フィギュアスケート選手権。
この世界選手権で男子は鍵山優真が銀メダル、宇野昌磨が4位、三浦佳生は8位。女子は坂本花織が3連覇を達成、千葉百音が7位、吉田陽菜が8位だった。
この記事の画像(10枚)そして、ペアの三浦璃来&木原龍一組は銀メダル、アイスダンスの小松原美里&尊組が18位で終えた。
フィールドキャスターとして現場を訪れ、数々の選手たちにインタビューも行った本田真凜。
少し前まではリンクの上に立っていたからこそわかる緊張感や会場の雰囲気を体感し、演技の観戦は手に汗握っていたと語る。
「一言ではまとめられない」4日間
本田は世界ジュニアに続き、フィールドキャスターとして、世界選手権が行われたカナダ・モントリオールを訪れた。
この4日間を本田は「一言ではまとめられない」ような時間を過ごしたと振り返る。
「シニアの選手は小さいころから一緒に切磋琢磨してきた選手が多い。みんなうまくいってほしいという気持ちがいっぱいで、私を撮っているカメラが横にあることを忘れるくらい、観客席で取材のために見ていたときは緊張しました。
マリニン選手のときは、最後のジャンプが終わったかくらいでもうカナダのお客さんたちが立っていて、曲が終わる30秒前くらいからのスタンディングオベーションは初めて見る光景でした」
「自分が試合をする時より3倍くらい緊張して、誰かのスケートを見て、こんなにも自分が一喜一憂する日が来るとは選手の時には思っていなかった。
今まで以上に選手それぞれの思いなどを知ったうえで見た演技だったので、心からよかったと思える選手もいれば、悔しかったなって私も思ってしまう選手もいたり、そんな心境です」
初めて英語でのインタビューにも挑戦
今回、世界選手権に出場したメンバーは本田と年が近い選手もいる。
特に長い親交がある坂本にとって本田は“戦友”であり、本田がいたからこそ、「戦う気持ちを忘れずにいる」と坂本は話していた。
「坂本選手は小さい頃から一緒にやっていて、いろいろなことを知っています。だからこそ、聞きたいことを結構聞けたのかなとも思います。
自分が選手をしていた時から、いろいろな海外の試合で一緒だったりする選手もいました。それぞれの選手の、今回は現地での練習の調子とかも全部把握したうえでの試合だったので、みんなうまくいってほしいと思っていました」
本田はこの世界選手権で、歴史を塗り替えたイリア・マリニン(アメリカ)にもインタビューを行った。
「マリニン選手は練習で状態が読めませんでした。その状態であそこまでの演技を見ることができて、それこそ歴史的な瞬間を目の当たりにしたなと感じました。
今後はインタビューも難しくなりそうなマリニン選手も、気さくに受け答えしてくださってよかったなと思います。今回初めて英語でインタビューにも挑戦して、みなさんしっかり答えてくれたのでホッとしました」
選手にとっての世界選手権とは?
本田に「選手にとっての世界選手権」について聞くと、特に日本の選手からすると国内で多くて3人しか枠がないだけにすごく難しい大会だという。
「他の試合に比べたら出場選手がすごく多い。でも、特に日本・韓国・アメリカあたりが、国内で多くて3人に入らないと出られない試合。
他の国の選手だったら出場選手自体が少なかったりもする。特に日本の選手にとっては、すごく難しい、限られた選手しか出られない戦いです。
その舞台に選ばれて、滑ることができているだけでみなさんを尊敬します。
その中で、坂本選手は3連覇を達成し、本当にすごいことです。3年間トップに立ち続けることは、どれだけ圧倒的に見えても難しいことだと思う。本当に素晴らしいと思います」
本田自身、現役時代に世界選手権への出場は叶わなかった。
だからこそ、大会前の取材も、大会期間中のインタビューでも出場メンバーのリスペクトは欠かさなかった。
自身が選手のときの気持ちを呼び起こして「どうかな?」と考えながら選手の話を聞いたりしていたという。
「女子は坂本選手がショートで4位から巻き返しとなる中で、3連覇を狙っている状況で完璧な演技ができる坂本選手は強いと感じました。
マリニン選手はジャンプの構成も演技もものすごくて、私がインタビューをしていることが不思議なくらい、そして、とても光栄なことだと思いました。男子は本当にハイレベルすぎる戦いでした」
本田にとって2度目のフィールドキャスターは“手ごたえ”を感じたという。
「世界ジュニアの時は本当に緊張しすぎて、『次のインタビューの質問なんだっけ?』『何を聞こう…』といったことが頭の中でいっぱいで、選手が話してくれていることの半分くらいしか自分の中に入ってこなくて。
あとで見直したら、こういうこと言ってくれていたんだというような状態だったんですけど…。今回は話してくれたことを踏まえて“これを聞きたい”と新しく加えられたりしたので、ちょっと成長したかな」
選手として引退後、キャスターとして歩み始めた本田。
「フィギュアは自分が長年やってきて知り尽くしているからこそ、ここはカメラに撮られたくないかもしれないと思う場面で、少し離れたところからリポートをするとなった時は、限られた中で“絶対にミスしないように”と思いました。
少しでも自分が選手の立場を思って、“これはどうかな”と考えられるようにしたいです。これからも新しく、いろいろな知識を学んでいくことになると思うので、いろいろなスポーツのルールをイチから勉強していこうと思います」
来シーズンの世界選手権はアメリカ・ボストンで開催される。