西九州新幹線の乗り入れに伴う再開発が進められてきた長崎・JR新大村駅前の複合施設に、県内最大規模の無印良品などがこのほどオープンした。ようやくにぎわいを見せた駅周辺に、地元の期待も高まっている。

新しい発見がある売り場を目指す

西九州新幹線の新駅として2022年に誕生したJR新大村駅。2023年から周辺で建設が進んでいた分譲マンションや商業施設などからなる複合施設「SAKURA MIRAI SHIN OMURA(サクラミライ新大村)」は一部のテナントが3月7日にオープンした。

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このうち、生活雑貨を販売する「無印良品」には開店の約2時間前から買い物客が列を作った。

初日は開店2時間前から買い物客が列を作った
初日は開店2時間前から買い物客が列を作った

これまで長崎市や佐世保市にしか店舗がなかった長崎県の無印良品。遠くまで足を運ばずに商品を選べるとあって地元の人達もオープンを心待ちにしていた。買い物客は「文房具が好きだけど長崎市まで買いに行くのが手間。交通費もかかるのでここで買えるのが一番うれしい」と話す。

無印良品としては、長崎県では4店目となる大村店。売り場面積は約2千平方メートルと県内の他店の2倍ほどの広さがウリで、子育て世帯をターゲットに家具や寝具の「シーン展示」もしている。

子育て世帯をターゲットにした家具や寝具の「シーン展示」
子育て世帯をターゲットにした家具や寝具の「シーン展示」

早速、足を運んだ市民からは「品ぞろえがよかった」「無印の子供服は大きい店舗にしかないので本当に有り難い」と待ち望んでいた様子がうかがえる。

限定カラーのバッグを目当てに訪れる客も多く次々に手に取っていた。期間限定で生活雑貨と衣料品約40アイテムが限定の割引価格になっている。

限定カラーのバッグを目当てに訪れる客も
限定カラーのバッグを目当てに訪れる客も

「毎週立ち寄りたくなるような店」をコンセプトにしている無印良品新大村駅前店。奥昇己店長は「新しい発見があるような売り場も考えながら立ち上げたので、そういう思いが伝われば」と話している。

循環するモノを売り、客と一緒に盛り上げを

無印良品を展開する良品計画は、環境に配慮したサービスも提供している。

環境に配慮したサービスを提供
環境に配慮したサービスを提供

一部の商品を対象に不要になった物を回収したり、マイボトルに無料で水を入れられるよう給水機を設置している。「非常に簡単だったのでこれからまたこまめに来る。とても助かる」と買い物客からも好評だ。

給水機はマイボトルに無料で水を入れられる
給水機はマイボトルに無料で水を入れられる

ものづくりでも素材選びの基準にこだわりがある。砂糖を作るときに出る「サトウキビ」の搾りかすを使ったカトラリーや、成長が早く環境への負荷が少ない水草の一種を手編みで仕上げたバスケットなどラインナップは多岐にわたる。靴下などを陳列するためのフックやハンガーも紙製だ。

フックやハンガーも紙製
フックやハンガーも紙製

奥店長は「商品をただ売って終わりではなく、その先で循環していく。ただのゴミになって終わりではない商品開発ができれば。1人でも多くの客と一緒に盛り上げていきたい」と話し、店作りへのこだわりも注目ポイントだ。

大村の暮らしを官民一体で

西九州新幹線の開業から約1年半、「SAKURA MIRAI SHIN OMURA」は2025年春の全面開業を目指している。「ゆめマート新大村」の開業は当初予定していた2024年3月から初夏を目指し、ファミリー向けのマンションは2024年秋に完成する予定だ。

「サクラミライ新大村」は2025年春の全面開業を目指す
「サクラミライ新大村」は2025年春の全面開業を目指す

確実に新しい街づくりが進んでいる大村市。市民からも「住みやすくなってきたと感じる」という声も聞かれ「都会過ぎず、田舎過ぎないところがちょうどいい。あと映画館が欲しい」と、さらなる期待がかかる。

住みやすくなってきたという市民の声も
住みやすくなってきたという市民の声も

2024年2月末時点での大村市の人口は9万8926人。近年約400人ずつ増加していて、市は早ければ年内に10万人を突破する見通しとしている。大村市の園田裕史市長は「開業時に駅前の商業施設が完成していなかったので、あそこはどうなるのだろう、何もできないのではないかと不安や心配の声が聞かれていたが、ここから始まる大村暮らしを多くの方に体感してもらい、移住や定住につなげていきたい」と話している。

市と民間の連携にも期待がかかる
市と民間の連携にも期待がかかる

さらに市は、駅周辺のにぎわいを全域に広げられるよう民間の連携にも期待を寄せている。奥店長は「今後毎週末、大村市の事業者を招待して店舗の区画内で出店していただくような『つながる市』みたいなものの開催も検討している」と話し、民間側も市と一緒に盛り上げていきたいとしている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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