東日本大震災以降、山形県内各地で避難者に寄り添う活動が続いている。人々の苦しみや悩みを歌にしてメッセージを発信している長井市のグループを取材した。

苦悩を歌に…「震災は人生最大の出来事」

3月9日、長井市の酒蔵で開かれたコンサート。企画したのは、1975年に結成されたフォークグループ「影法師」で、震災以降は避難した人たちなどの苦悩を歌にして発信している。

「鈴木酒造店・長井蔵」で開かれたコンサート
「鈴木酒造店・長井蔵」で開かれたコンサート
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暮らしの中で感じた怒りや矛盾を歌い続け50年を迎えたが、13年前の出来事は最も衝撃的だったと話す。

影法師 作詞担当・青木文雄さん:
震災は、私にとって人生最大の出来事。心が揺さぶられた。おそらく一番いい歌がこの震災の直後に書けたと思う

影法師・船山正哲さん
影法師・船山正哲さん

影法師・船山正哲さん:
十数年もたったけど、能登半島地震もあったし、同じようなことが繰り返されて、少しは良くなっているのかと思ったらあまり変わらない。歌を発信しても変わらないかもしれないけど、しなければ変わらない

影法師・横澤芳一さん:
私たちが歌ってきた歌、これからできるかもしれない歌。歌を通してどう感じてもらえるかの問いかけなんだと思う

人に寄り添い歌う…「気持ちが楽になる」

コンサート会場の「鈴木酒造店・長井蔵」で酒をつぎ、来場者をもてなしていたのは、社長の鈴木大介さん。

鈴木酒造店・長井蔵 社長の鈴木大介さん
鈴木酒造店・長井蔵 社長の鈴木大介さん

ふるさとの福島・浪江町から避難を余儀なくされた鈴木さんは、廃業を考えていた酒蔵を引き継ぐ形で長井にやってきた。影法師との出会いは、今も心の支えとなっている。

鈴木酒造店・鈴木大介さん:
長井に自分たちが親しむきっかけ、人のつながりを与えてくれたのが「影法師」。なかなか表立って言えないことを代弁者として思い切って歌ってくれる。自分たちの気持ちが楽になるところがある

鈴木さんが手掛けた新酒を味わいながら楽しむ毎年3月のコンサートは、蔵人と歌い手、そして市民がつながる強い絆の証でもある。

鈴木酒造店・鈴木大介さん:
一生懸命頑張って今を生きる、生き切るというのが被災した時から思っていたこと。亡くなった人に対しても生きた証を残したい

影法師・遠藤孝太郎さん:
再出発の一助になったとすれば自分たちも幸せ。自分たちのできることで協力する、関わっていくことが大切

世の中への怒りや矛盾を原動力に、歌い続けて半世紀。
これからも、懸命に生きる人に寄り添い続ける。

(さくらんぼテレビ)

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