能登半島地震で5万棟を超える住宅が被害を受け、約100人が倒壊した家の下敷きとなり死亡した。一番の対策は耐震改修だが、時間も費用もかかる。専門家は生死の分かれ目が「わずか数10cmの空間があるかないか」だと話す。私たちはどのように身を守ればよいのか。

生死の分かれ目は数10cmの空間

能登半島地震で、石川県ではこれまでに241人の死亡が確認されている。

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死因の中で最も多かったのは、倒壊した建物の下敷きになったことによる「圧死」で、亡くなった人全体の4割を占めている。いざという時、私たちの生死を分けるものは何なのだろうか。

山形県が委嘱する自主防災アドバイザーの大泉勉さんは「空間がそこにあったかどうか」と指摘した上で、建物の倒壊時には「自分の周りにわずか数10cmの空間があるかないか」が生死を大きく分けると話す。

県自主防災アドバイザー・大泉勉さん:
30cmぐらいの空間があった人が助かったのは報道もされていたが「テーブルの下に隠れた」「その空間にいたから助かった」と。ということは空間を住宅の中に、地震が起きた時にどう作るのか工夫が必要

ソファにピタッ!空間作りの方法

しかし、今回の地震では揺れ始めてから建物が倒壊するまで「わずか7秒」というケースも報告されている。その短時間で、自分の周りに空間を作ることは可能なのだろうか。

県自主防災アドバイザー・大泉勉さん:
地震が来たらどこに空間できるだろう?テーブルの下でもいいし、ソファのそばに身を寄せるだけでもいい。ソファは大きいのでピタッと身を寄せれば、いわゆる「三角の空間」が作れる。家がつぶれても、はりなどがあるのでソファの背もたれに引っかかって斜めになり、空間ができる可能性もある

「貴重な体験から学んでほしい」

今回の能登半島地震で被害を受けた住宅は5万棟を超えるが、古い木造住宅の1階部分がつぶれるケースが多く見られた。大泉さんは「1階は、玄関やリビングなど開放部分が広いため、地震に弱く、つぶれやすい。夜はできるだけ2階で寝るべき」と話す。

防災ベッド
防災ベッド

県自主防災アドバイザー・大泉勉さん:
圧死を防ぐためには、避難できるスペースを作れるようにしておく。夜に寝る所だけでもシェルターで囲うとか。実際、大地震の後はシェルターが売れる傾向にある

防災アドバイザーとして、県内の自主防災組織を対象に研修会も開いている大泉さん。今回の地震を自分たちの命を守るために生かしてほしいと訴える。

県自主防災アドバイザー・大泉勉さん:
貴重な体験をしてくれた訳です彼らは。だから一過性にしてほしくない。ずっと見続けてほしい。自分たちが災害の被害に遭わないようする工夫を、彼らの体験から学んでほしい

(さくらんぼテレビ)

さくらんぼテレビ
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