アニメ『ちびまる子ちゃん』の主人公・まる子役の声優、TARAKOさんが3月4日、63歳で亡くなった。アニメで初代ナレーションを務めたキートン山田さんや音響監督が制作の舞台裏について語った。

キートン山田さん「すごくツッコミしやすかった」

まる子役を34年にわたって演じたTARAKOさん。漫画家・さくらももこさんの体験をもとに小学3年生の日常を描いた『ちびまる子ちゃん』は、瞬く間に国民的アニメになり、TARAKOさんが命を吹き込んだ「まる子」は、アニメ界唯一無二のヒロインになった。

©さくらプロダクション/日本アニメーション
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アニメの代名詞でもあったのが、ツッコミナレーション。初回から31年にわたりナレーターを務めたキートン山田さんは、TARAKOさんあってこそのものだったと語る。

初代ナレーション・キートン山田さん:
あのしゃべりと声があって、すごくツッコミしやすかった。本当にタラちゃんのやり方で、ナレーションが逆に形づいたかなって思ってるので、すごく感謝しています。ありがとうですよ。

一方、音響監督の早瀬博雪さんは、「まる子」の役作りについてこう語った。

音響監督・早瀬博雪さん:
まる子を演じていくうちに、TARAKOさん自体がまる子になれたんだと思います。自分のしゃべりが、もうまる子なんだなと実感し初めて、今のまる子ができあがっていった。

例えば、アニメに度々登場する「いいじゃん、いいじゃん、ぷっぷくぷ~♪」とふざけて歌うシーンは、台本にはセリフが書かれているだけで、メロディーはTARAKOさんのアドリブだったという。

「ちびまる子ちゃんランド」には、別れを惜しむファンの姿

2024年に入り、病と闘いながら仕事を続けてきたというTARAKOさん。2018年、原作者のさくらももこさんのお別れの会では、まる子の声でこのようなメッセージを送っていた。

「3年4組、さくらももこ。通称まる子。大人になったあたしへ。まずは何をおいてもこれだね。よくぞ夢を叶えてくれました。あんた本当にエラいよ、おめでとう。何でもいいからずっとずっとどこにいても描き続けてください。生まれ変わっても、きっとずっと私はちっちゃくて丸くて、おっちょこちょいで、プリンが好きで、百恵ちゃんが好きで、漫画が大好きなさくらももこです。またね」

11日、アニメの舞台となった静岡市清水区の「ちびまる子ちゃんランド」では、まる子が住んでいるさくら家の居間や、散らかった子供部屋、まる子が通う3年4組の教室など、TARAKOさんが演じるまる子の声を聞きながら別れを惜しむファンの姿があった。

訪れた人たちからは、「まるちゃんといったらTARAKOさんって感じだったので、声が変わっちゃうと寂しいなと思いますね」「物心ついたときから見てました。小さいころから。今、この子もまるちゃんにハマっていて毎週拝見させていただいて、これからもまる子ちゃんをずっと愛していきたいと思います」などの声が聞かれた。

コーナーの一角には、昔、TARAKOさんが訪れた際に書いたという絵馬があった。そこには「みんな元気で笑顔でいてね。いつも応援してくれてありがと。まる子…TARAKO」と書かれていた。

34年にわたり、まる子を愛し続けてきたTARAKOさんが演じたまる子は、日本中から愛されてきた。
(「イット!」 3月11日放送より)

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