漫画家の鳥山明さんの訃報に続き、また日本のアニメ界の“宝”が亡くなった。フジテレビで放送中の『ちびまる子ちゃん』の「まる子」役の声優、TARAKOさん(63)が4日未明に亡くなっていたことがわかった。

独特の声と台詞回し 多くの人に愛されるキャラクターに

1981年に声優としてデビューしたTARAKOさんは、原作者のさくらももこさんの声に似ているとして、まる子役に抜擢された。そして、1990年1月7日の初回から34年間にわたってまる子を演じ、独特の声と台詞回しで、多くの人に愛されるキャラクターとなり、国民的な人気アニメとなった。

©さくらプロダクション/日本アニメーション
©さくらプロダクション/日本アニメーション
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TARAKOさんは、6年前にさくらももこさんが亡くなった際には、「お別れの会」で、「ももこ先生がいなかったら、私、本当に人生が変わっていたので。3000円のマッサージも頼めないような、そんなけっこう辛い生活をしていたんです。まる子が売れるまで。貧乏はお得意だったんですけど、本当にももこちゃんの声と似てて幸せでした」と、感謝の気持ちを伝えていた。

そして、「まる子」として、さくらさんへの思いをこう伝えた。

「3年4組さくらももこ、通称、まる子。大人になった私へ。まずは何をおいてもコレだね。よくぞ夢をかなえてくれました。あんた本当えらいよ。おめでとう」

「まる子」の地元・清水でも悲しみ広がる

所属事務所によると、TARAKOさんは2024年に入り、病と闘いながら仕事を続けてきたが、容体が急変し、3月4日未明に亡くなった。

TARAKOさんの訃報を受け、『ちびまる子ちゃん』の舞台となっている、静岡市清水区でも悲しみが広がっている。

静岡市清水区にある「ちびまる子ちゃんランド」
静岡市清水区にある「ちびまる子ちゃんランド」

清水区にある「ちびまる子ちゃんランド」の来場者からは、「私も妻も、子どもの頃からずっと『ちびまる子ちゃん』を見て育って、この子も今それを見て育っているのでとても残念です。悲しいですね」「ちっちゃいときからずっと同じ方の声を聞いて育ってきたので、ちょっと寂しいですね。今まで楽しい時間を与えてくださってありがとうございます」といった声が聞かれた。

TARAKOさんは、清水区で行われた七夕のイベントにゲストとして参加したこともある。その際には、「清水パワーを感じましたよ。とにかく皆さん生き生きしていて」と話していた。

TARAKOさん出演の最後の作品は3月24日放送予定

TARAKOさんの訃報を受け、共演している声優陣も追悼コメントを寄せた。

お母さん役の一龍斎貞友さんは、「唯一無二の存在が旅立ってしまいました。いつも誰にも気を配る心遣いの達人だったタラちゃん。この喪失感を埋めるすべを見つけられません」とコメント。また、仲良しのおじいちゃん、友蔵役の島田敏さんは、「胸つまる 『何だい?まる子』 言えなくて」と、アニメでもよく使われる俳句で心境をつづった。

TARAKOさんが出演した最後の作品は「まる子、水の味がわかる?」の巻で、3月24日(日)の放送を予定している。10日から当面の間は、過去の作品を放送する予定だ。

TARAKOさんの葬儀は、近親者のみの家族葬で行われ、後日、お別れの会を検討しているという。
(「イット!」3月9日放送より)