宮崎県の基幹産業である農業では、“担い手不足”が深刻な課題となっている。2月、経団連と新富町、宮崎大学による、農業の課題を探り人材育成に結びつけるための「地域プロジェクト実践演習」が行われた。
深刻化する農業担い手不足
宮崎県の基幹産業である農業では、担い手不足が深刻な課題となっている。

県によると、2025年2月時点で30 a以上の耕地で農業を営む農家の数は1万6920軒で、5年前と比べて4197軒も減っている。
こうした状況を受け、経団連は地方創生の実現に向けて大学などと連携し、地域で活躍する人材の育成に取り組んでいる。この取り組みは文部科学省の事業として行われており、2024年度から新たに宮崎大学も加わった。
地域課題解決へ宮崎大が始動
2月12日、新富町で「地域プロジェクト実践演習」が開催された。

参加したのは宮崎大学の学生4人と、町内で活動する一般財団法人の職員や農家、企業に勤める社会人3人。

今回のプロジェクトを企画した宮崎大学の中山隆特別講師は、参加者に対し「自分の強みや専門性を表現し、社会人の強みや専門性も含めて一緒に何かを作っていこうということを考えてほしい。何かと何かを掛け合わせることが、新しいものを作る一番簡単な方法。実践にまでは至らないかもしれないが、普段とは違う場所や仲間、視点を活用しながら新しいものを作ってほしい」と話した。
現場で学ぶ農業経営の現実
参加者の一人、教育学部2年の原口将希さん。

「農業の担い手不足は農家だけの問題ではない」と感じ、将来教師として子供たちに農業について興味を持ってもらうきっかけを作りたいとプロジェクトに参加した。

この日はまず、農業経営を疑似体験するゲームを実施し、参加者は農業の収益性やリスク、持続可能性について理解を深めた。

その後、有機農業に取り組むオーガニックファームZEROの宮本貴倫さんの仕事場を訪れ、農業現場での課題を探った。宮本さんは地域の小学校からの依頼で、年に一度、有機農業に関する講演を行っているという。

参加者たちは有機人参を栽培している畑を見学。農薬に頼らない有機農業における雑草対策など、多くの作業が手作業に委ねられている現実を目の当たりにした。

また、形が不揃いな人参は出荷できず、そのまま肥料として土に戻されている現状も確認した。
オーガニックファームZERO 宮本貴倫さん:宮崎や新富の産業にはこういうものがあるんだと気づいてもらい、今後地元に貢献していただける方たちが増えていけば良いなと思う。
学生が解決策を提案
現場を視察した原口さんは新たな「気づき」を得たと話す。

宮崎大学2年 原口将希さん:
学校現場との連携というところで、あまり機会がないのかなと思ったので、そこにどうやって教育を関わらせていくかというところが大事なのではないかなと思った。農業従事者を増やすとか興味を持ってもらうということに関しては、まず1回農業体験をさせてみるのが大事なのではないかなと思う。有機農業の作物があるということを知ってもらう機会としては、学校の調理実習などで地産地消の食品を使ってみてもいいのではないかなと思った。
地域貢献への期待
中山特別講師は、プロジェクトを通して「自分たちが学んでいることが地域や社会で生きる、あるいは生きるかもしれないという期待感や、自分たちの力が生かせるという有用感を持ち帰ってもらいたい」と話す。

宮崎大学では、2026年の夏には金属加工などの製造業を題材とした演習の開催も検討しており、引き続き地域人材育成に力を入れていく方針だ。
(テレビ宮崎)
【画像】有機農業の雑草対策とは…大学生が見学