保育園に通う子供が虐待死。繰り返される悲劇を防ぐことはできなかったのか。

「殺せー!」家庭では叫び声

当時の近隣住民:
夫婦げんかで、奥さんがダミ声で「殺せー!」って。夜中と昼間にずーっと(けんか)やってるから。奥さんが狂ったようになってるから。救急車か警察が来てたよ、何回か

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夫婦げんかが絶えなかったというのは、4歳の次女・美輝ちゃん(4)に「向精神薬」と、車のエンジンの冷却などに使われる「不凍液」を飲ませ、殺害した疑いで逮捕された、細谷健一容疑者(43)と妻の細谷志保容疑者(37)。

ホテル経営者として裕福な暮らしをしていたようにも見える夫婦だが、こんな証言も。

元取引先のオーナー:
(従業員への)支払いとかが、なかなかできていなかった。結構微々たる金でも払うの大変だったみたい

ホテル経営とは別の事業で、支払いが滞ることがあったという。

「髪の毛もパサパサのぼろぼろ…」4歳娘に常習的な虐待か

また、美輝ちゃんへの常習的な虐待が疑われる複数の状況についても、新たにわかってきた。

捜査関係者によると、通っていた保育園で美輝ちゃんはいくつもの虐待の兆候を見せていたという。

警視庁への保育園側の証言:
同じ服を毎日着ている、オムツもろくに替えられていない。髪の毛もパサパサのぼろぼろ。お風呂も日頃から入れてもらえてなかったような状況

さらに、東京都児童相談センターによると、2019年に育児放棄の疑いで美輝ちゃんらを児童相談所が保護。2022年9月には、通っていた保育園から頬や腕にひっかき傷があるなど、2カ月あまりで5回の連絡があったことも確認されている。

なぜ防げなかった?専門家は制度の問題点を指摘

いくつもの虐待を疑われる状況がありながら、なぜ事件を未然に防ぐことができなかったのか。専門家は日本の制度に問題があると指摘する。

山梨県立大学人間福祉学部 西澤哲特任教授:
全体の数字みると21万件の通告で、一時保護されるのが2万8000人で、そのうち施設や里親家庭という別の養育環境に行く子供って4500人しかいないんですよね。
日本はどちらかというと、「確実に子供を置いておいたらまずいよね」っていうところまで、親元に置くような制度になっているので、それを改善しないと駄目かなって

一方で、2018年に不審死した、健一容疑者の姉・美奈子さん(当時41)についても新たな事実が。
美輝ちゃんと同じ不凍液の成分が、美奈子さんの体内からも検出されていたというのだ。果たして事件との関与は…。警視庁は詳しい経緯を調べている。
(「イット!」2月15日放送より)

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