2月26日から台湾・台北市で行われる世界ジュニアフィギュアスケート選手権。

今シーズン、JGPハンガリー大会で表彰台にのぼり、昨年末の全日本選手権にも出場した垣内珀琉が男子代表として初出場する。

礼儀正しく真面目な4回転ジャンパー

昨シーズン、日本は世界選手権・世界ジュニアでも男女で金メダルに輝いた。

その世界選手権で連覇、そして全日本選手権3連覇中の絶対女王・坂本花織や三原舞依らと同じ兵庫県に生まれ、田中刑事コーチらのもと練習に励んでいるのが、高校生スケーターの垣内珀琉(17)だ。

キスクラで姿勢を真っすぐにして座る垣内
キスクラで姿勢を真っすぐにして座る垣内
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深々としたお辞儀、キスクラでの様子や真っすぐな姿勢でたたずむ姿が印象的で、インタビューを受ける際はハキハキと受け答えをし、スタッフへの気遣いも欠かさない。

謙虚さや真面目さがにじみ出るキャラクターの持ち主だ。

スケーターとしては、バレエで培った柔軟性を活かした表現力が魅力。さらに表情の面では宝塚歌劇団の顔を研究して、演技に落とし込んでいるという。

そんな垣内はスケートリンクを“銀盤の劇場”と位置付け、演技が終わりリンクアウトするまで気を抜かず、観客を楽しませるというエンターテイナーとしての一面ものぞかせる。

垣内はスケートリンクを“銀盤の劇場”と表現(2023年全日本ジュニア)
垣内はスケートリンクを“銀盤の劇場”と表現(2023年全日本ジュニア)

技術面でも4回転トゥループを武器に、ジュニア選手ながら推薦で2度の全日本出場を果たすなど実績を積んできた。

今季はさらなる飛躍を誓い、ジャンプ以外の部分での底上げを実施。

苦手だったスピンの強化などを行うことで演技構成点を上げ得点アップを図った。

JGPハンガリー大会で初3位表彰台

今季はJGPシリーズ2戦に出場。

ハンガリー大会では目標としていた自身初のトータル200点超えを果たし、初の3位表彰台にのぼった。

ショートは自身初挑戦となる恋愛の曲(2023年全日本ジュニア)
ショートは自身初挑戦となる恋愛の曲(2023年全日本ジュニア)

6度目の全日本ジュニアの舞台では、ショートプログラムでジャンプを全て着氷。

初めて挑戦するという恋愛の曲に合わせて、持前の表現力で滑り切り3位スタート。

フリーは昨季から継続となる『Wake Me Up』。

「今までと違うオレ」を見せるフリー(2023年全日本ジュニア)
「今までと違うオレ」を見せるフリー(2023年全日本ジュニア)

クラッシックが得意な垣内にとって挑戦とも言えるアップテンポな曲だ。

垣内は以前、このプログラムのテーマを聞かれ「去年までとは違うオレだぜ」と話していた。

そのフリーでは、冒頭4回転トゥループを転倒してしまうも、そのほかのジャンプをまとめ4位入賞で、全日本出場権を獲得した。

世界での経験値が着実にアップ

自身2度目となった全日本選手権。

ショートでは、ジュニア課題では入れられない4回転トゥループを組み込みたいと宣言。

冒頭その大技は転倒してしまうも、大舞台で攻めた構成に挑戦し成長を示した。

「会場を沸かせます!」と意気込んだフリーではジャンプにミスはでたものの、強化しているスピン全てでレベル4を獲得。

「この一年での成長を感じた」とたしかな手ごたえを感じたという。

全日本後、決めポーズを見せてくれた垣内
全日本後、決めポーズを見せてくれた垣内

全日本ではジュニア勢3番目となる順位に加えて、世界の舞台でも実力を発揮した今シーズン。

垣内は最大の目標としていたユース五輪と、初のチャンピオンシップス大会デビューとなる世界ジュニアへの出場権をつかみ取った。

年が明け2024年。

韓国で行われたユース五輪に日本代表として派遣された垣内は、ショート8位スタートを切る。

フリーでは大舞台で4回転トゥループに挑んだが成功とはならなかった。

総合7位で大会を終えたが世界での経験値は着実にアップしている。

次は初のチャンピオンシップス大会デビューとなる世界ジュニア。

これまでとは違う“オレ”が世界を沸かせる演技に注目したい。

フィギュアスケート取材班
フィギュアスケート取材班