世界ジュニアフィギュアスケート選手権が、2月26日から台湾・台北市で開催される。
全日本ジュニアで2位表彰台にのぼった櫛田育良(16)。
今シーズンの実績が評価されたことで、女子代表に選出された櫛田は、初のチャンピオンシップスで表彰台を目指す。
全日本ジュニアでは会心の演技を披露
現在、高校1年生の櫛田。
身長166センチの長身から繰り出される数々の技と、日本人離れのルックスが武器だ。
ジュニアとは思えないエレガントなスケーティングを誇る櫛田だが、今シーズン序盤はケガもあり、思い通りにいかなかったという。
それでもJGPシリーズに2戦出場し、それぞれ4位と成績を残した。

その後、11月の全日本ジュニアではショートで会心の演技を披露し、首位スタートを切る。
フリーでもノーミス演技で自己ベストを更新した。
「今シーズン最初の方はケガもあって、少し不安な部分も多かった。全日本ジュニアに向けて、ケガもいい状態に持ってくるように努力して、ケガの分遅れていたので追いつけるように、すべてのことをレベルアップできるように頑張りました」
全日本ジュニアでは、島田麻央に次ぐ2位の成績で、自身2度目となる全日本選手権に出場した。
緊張に飲み込まれた2度目の全日本
迎えた昨年末の全日本は、他の大会とは異なる、独特の雰囲気を醸し出す大舞台だ。

その雰囲気に飲み込まれてしまったのか、「緊張してしまった…」という櫛田は、冒頭のジャンプで転倒してしまうとその後も崩れてしまった。

「(ジャンプの)1本目でミスしてしまってから立て直せなくて。そのまま引きずってしまったところが悔しいです。会場に入ってからとても調子がよくて、それもあって本番で緊張してしまいました」
フリーへの進出はできず、まさかのショート落ち。
本人も世界ジュニアの出場はないと諦めていたようだが、全日本選手権終了後の発表で、ここまでの櫛田の実績が評価され派遣が決まった。

年が明け、櫛田は茨城で行われたインターハイに出場。
そこで世界ジュニアへの派遣が決まったことについて聞くと「全日本でショート落ちをしたので世界ジュニアのことを気にしてなく、ホームページも見てなかったんです。
なので、島田麻央ちゃんのお母さんから母に電話がかかってきて知りました。とてもびっくりして、信じられなかったです」と同じリンクで練習を共にするチームメイトからの朗報があったと明かした。
トラウマを払拭させたインターハイ
そのインターハイは、全日本での「緊張しすぎて思い切りがなかった」ことを踏まえて臨んだという。
ショートでは3つのジャンプを全て成功させ首位に立ち、トラウマを払拭する結果になった。
「今回はジャンプが全て決まってよかったです。気になったのがトリプルルッツで少し後ろにいってしまったこと、自分としては少し慎重になってしまって、いつもより大きな動きができてなかったんじゃないかなって。そこを修正したいです」
続くフリーもミスはあったもの崩れずに滑りきった。
初めてのインターハイを櫛田は、世界選手権代表の吉田陽菜、千葉百音に次ぐ3位で終えた。
「大会を通して全日本で失敗してしまったショートは、大きなミスなく終えられて良かったです。
ただショートからフリーまでのコンディションや、ショートで見つかった課題をちゃんと直しきれなかったことが課題。次の試合までに修正できるように頑張りたい」
ほどよい緊張感で臨む世界ジュニア
インターハイから1週間後、櫛田は北海道で行われた国体・少年女子の部にも出場。
ここでも世界選手権代表の吉田に次ぐ2位の好成績を残した。
「インターハイからすごく期間が短かったので、追い込んだ練習というよりはインターハイで悪かった部分を練習して、この試合に向けて調整して、調子を維持するようにしました」
そして次戦は、初めて世界で戦う世界ジュニアだ。
緊張しすぎて全日本の大舞台で力を発揮できなかった櫛田にとって、世界ジュニアはより大きな舞台となる。

そのため櫛田は全日本での反省を生かして、緊張への対策もしていると語る。
「大きな舞台なので緊張すると思うんですけど、自分を出し切って、初めての世界ジュニアを全力で楽しんで、いい結果を残したい。
緊張しすぎるのも全く緊張しないこともダメなことが多いので、緊張しているときには楽しむようにアップ中も意識したり、緊張しないときには試合のことを考えて少し緊張するようにしています」
緊張しすぎない、ほどよい緊張感が櫛田を強くする。

その世界ジュニアでの目標を「3位以内で表彰台にのぼること」と掲げる。
続けて櫛田は「ショート、フリーともに自分のできる最大限の演技をして、見ている人たちに感動を与えられるような演技をしたいです」と話した。
自身初めてという台湾で行われるジュニアの世界一決定戦で、持ち味を最大限に生かした櫛田が輝く姿を楽しみにしたい。