世界ジュニアフィギュアスケート選手権が2月26日から台湾・台北市で開催される。
今シーズン、全日本ジュニアで2位、JGPファイナルで優勝した男子代表の中田璃士(15)。初の世界ジュニアでも表彰台を目指す。
歴代の先輩と並んだJGPファイナル優勝
11月の全日本ジュニア選手権で中田は、自身の武器でもある4回転トゥループを高い出来栄え点(GOE)で成功させる。
続くトリプルアクセルのコンビネーションも難なく決めて見せた。

全日本ジュニアでは2位となり、この大会で初めて表彰台に立った。

JGPシリーズ2戦に出場した中田は、日本男子唯一のJGPファイナルへの切符を手にする。
ショート4位で迎えたフリーは、冒頭の4回転トゥループを出来栄え点+3.12の高得点を出すと、続くトリプルアクセルのコンビネーションも+2.17点を獲得。
全てのエレメンツで加点が付く演技で自己ベストを更新して逆転優勝を飾り、渾身のガッツポーズが飛び出した。
JGPファイナルの優勝は日本男子では5人目の快挙だ。歴代の優勝は小塚崇彦、羽生結弦、宇野昌磨、佐藤駿がいる。
歴代の先輩スケーターと名前が並び、中田は「憧れている選手と同じところに立てたので、すごく自信につながる」と胸を張った。
2022年のリベンジで大技挑戦の全日本
JGP王者として大きな期待を背負い、挑んだ昨年末の全日本選手権。
中田はいつも通りリラックスした様子で大会に挑んでいた。

2年連続2回目の全日本となるが、初めて出場した2022年の全日本ではまさかショート落ちを経験する。

しかし、2023年の全日本は「フリー進出を目指して挑む」と意気込んでいた。
ショートでは、ギリギリまで迷った結果、予定演技構成にはない4回転トゥループを投入。

惜しくも成功とはならなかったが、中田の表情はスッキリとしていた。
「6分間練習のときはやるだけやろうと思っていて、名前が呼ばれるまでは『冒頭は絶対にトリプルアクセル』と決めていました。でも、せっかくならやれることはやろうと思って4回転に変えました」

直前で大技への挑戦に切り替えた理由を中田はこう語る。
「去年(2022年)のリベンジもあります。見てくださっている方々に4回転を見せたいという思いもありました。
今までチャレンジをしないでいつも逃げちゃったりしていたので、それだけはもう絶対にやりたくないと思って4回転をやりました」

2022年の経験とフリーに進出し、ショートで4回転に挑戦したという大きな収穫が中田を突き動かしていた。
続くフリーでも大技に挑戦するが、成功とはならず本来の力を発揮することはできなかった。
「グランプリファイナルで優勝したので、優勝したところを見せたいという思いで挑みました。
全然ダメだったんですけど、これを生かして、まだまだできることも分かったので、次のユースオリンピックに向けて頑張ります」と前を向く。
武器を生かして狙う世界ジュニアの頂点
1月下旬、アイスショーからの過密スケジュールの中、中田は韓国で行われたユース五輪に出場。
ショートで得意のトリプルアクセルでミスが出ると後半のジャンプも抜けてしまい、リンクを下がる際に涙がこぼれた。
ショート13位という結果を受け、キスクラで肩を落とす中田に対して、会場から温かい拍手が送られていた。
巻き返しを狙ったフリーでは冒頭の4回転トゥループで着氷が乱れるも、得点源であるトリプルアクセルのコンビネーションを成功させる。2本目のトリプルアクセルも高い出来栄え点(GOE)+2.51をマークする。
フリーでは全体2位となり、総合4位でユース五輪を終えた。

次戦の世界ジュニアでは、今季習得した4回転と安定感が増したトリプルアクセルの成功がカギだ。だが、ジュニアグランプリファイナルを制した中田にとって、世界ジュニアの頂点は夢ではない。
中田自身、初のチャンピオンシップスとなる今大会。羽生結弦、宇野昌磨、前回大会優勝の三浦佳生ら数々の先輩が成し遂げた偉業に中田も続きたい。