イギリスのチャールズ国王ががんと診断され、国内外で驚きと心配の声が上がっている。がんの種類や進行度は非公表だという。治療が開始され、国王復帰まで公務は長男のウィリアム皇太子が代わりに行うことが増えるとみられる。
国王のがんを新聞一面で伝える
イギリスのチャールズ国王が、がんと診断された。がんの種類やステージについては、公表されていない。
突然のチャールズ国王のがんの発表は、イギリスで驚きをもって受け止められている。
イギリス王室によると、1月にチャールズ国王が肥大した前立腺の治療のために入院した際、別の異常を指摘されたため検査したところ、がんと判明したという。
王室は、前立腺がんではないとしているが、がんの種類や進行度は明らかにしていない。
市民は「正直とてもショックで悲しい。病院にいたことしか知らなかった」などとコメント。他の市民も「本当に驚いた」と話している。
チャールズ国王は、5日に治療を開始し、医師からは公務を延期するよう勧告されているという。BBCなどは、アメリカで暮らしているヘンリー王子が近日中に見舞いのために訪英すると報じている。
ここからは取材センター室長・立石修がお伝えする。チャールズ国王は先週、前立腺の治療が終わって退院したばかりで、75歳という年齢もあり、心配だ。
イギリスでは、各紙が新聞の一面で伝えるなど大きなニュースとなっている。またイギリスの公共放送BBCでも速報が流れた。
現地の定時ニュースでもトップニュースとして「先ほどバッキンガム宮殿から速報が入りました。国王ががんと診断されました」とアナウンサーが伝えた。スナク首相をはじめ、政治家や各界の著名人から心配する声も次々と入ってきていた。
米大統領が心配するコメントを表明
一報を受け、フジテレビのロンドン支局特派員もバッキンガム宮殿に現地の様子を取材に向かった。
すると、チャールズ国王のがんの一報を受けて、バッキンガム宮殿前には夜にも関わらず多くの報道陣が集まってきていた。
イギリスのみならず、アメリカや日本など各国メディアが中継やリポートなどを行っていて、世界中が注目する事態になっている。
アメリカでは、大統領選挙のキャンペーンに参加していたバイデン大統領が「診断を聞いたところで心配です。彼に電話するつもりです」とコメント。
また、大統領時代に国王に面会したことのあるトランプ氏も「彼は素晴らしい人だ。早く完全に回復することを祈っている」と、SNSにメッセージを載せている。
チャールズ国王はがんで苦しむ人々の理解に役立てば、という趣旨で情報を公開したとのことだが、1月29日に撮影された前立腺の治療から退院する時の映像では、足取りもしっかりしており、現在、病状が非常に重いとは考えにくい。
ただ王室は「前立腺がんではない」ということ以外は、部位や進行の状況などを公表していないので心配だ。そして当面、一般市民の前に姿をあらわしての公務は見送るという。
このため公務は長男のウィリアム皇太子が代わりに行うことが増え、責任が増すことになるが、ウィリアム皇太子を取り巻く状況は結構大変だ。
父であるチャールズ国王のがんに加えて、妻であるキャサリン妃は1月に腹部の手術し、現在は自宅で療養中だ。そのため妻に付き添いながら、3人の子育てもある。
そして頼りになるべき弟ヘンリー王子と、その妻メーガン妃は公務を退きアメリカにいる。この状況の中、チャールズ国王の復帰まで、大きな責任をウィリアム皇太子が背負うことになる。
国王と皇太子は非常に親密
では、チャールズ国王とウィリアム皇太子の関係性はどうなっているのだろうか。
様々な報道があるが、イギリスの大衆紙「ザ･サン」によると、この数カ月の2人の仲は信じられないくらい親密だという。
2020年に公開された写真は、チャールズ国王側がSNSで公開したものだが、距離的にも非常に親密な印象を受ける。環境問題などに真剣に取り組むウィリアム皇太子について「息子をとても誇りに思う」とべた褒めしており、関係は良好だと推測できる。
さらに国王は、ウィリアム皇太子夫妻が暮らすウィンザー城近くのコテージを、毎週日曜に訪問するなどしているということで、親密ぶりがうかがえる。
国王は75歳という自身の年齢もあり、ウィリアム皇太子の次の国王としての存在感を高めたいとの考えが常にある印象も受ける。ウィリアム皇太子も大変だとは思うが、真面目な性格から父の期待に応えようと、全力を尽くすだろう。
一方でBBCなどによると、弟のヘンリー王子もチャールズ国王と直接話したという。
数日中には米・カリフォルニアからイギリスへ帰国するとのことだが、メーガン妃や子供たちは同行しないという。
ヘンリー王子はチャールズ国王が自分のことを「スペア、予備」などと呼んできたことを強く批判をしてきた。
地元紙は2人の中は修復不可能なほど亀裂が入っているというが、父親の大きな病気をきっかけに関係が回復するのではと期待する声もある。
（「イット！」 2月6日放送より）
