「どう考えても1000円で生活はできない、死ねと言っているのと同じ」

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「めざまし8」の取材に対してそう語ったのは、群馬・桐生市に住む50代の男性です。
男性は、心不全や糖尿病などを患い、職を失うなどして生活が困窮。今年の8月以降、月に約7万円の生活保護を受けることになっていました。

保護決定通知書 支給額の欄には7万1460円という金額が記されている
保護決定通知書 支給額の欄には7万1460円という金額が記されている

しかし、実際に桐生市が男性に渡していた金額は、市役所の窓口で手渡しで支給される「1日1000円」。
そのため、1カ月に支給された合計額は、8月が3万3000円、9月が3万8000円と、全額ではなく、半分ほどしか支給されていませんでした。

男性が受け取りの際に記入を求められていたメモ
男性が受け取りの際に記入を求められていたメモ

生活保護受給者(50代):
おかしいだろと言ったんだよ。「1000円で生活できるなんておかしいだろ?」と言ったんだ。他のものを買っちゃったら、今度は食費が本当になくなっちゃうから。

生活が困窮…食い違う主張

毎日ハローワークに行くことを条件に、1日1000円を支給されていたという男性。生活は困難だと、市に訴えてきたと言いますが、受け入れてもらえなかったといいます。

――ハローワークには毎日行けと言われたのですか?
生活保護受給者(50代):

毎日だ、1000円もらえないもん。「調子悪くて来られなかった場合、どうなるんだって?その日の金はくれないのか?」と言ったら、(市の担当者は)「そうなっちゃうことがありますね」って言ったんだ。

いったいなぜ、市は男性に1日1000円しか支給しなかったのでしょうか?
めざまし8が入手した、男性の代理人と市の担当者の話し合いの音声を聞いてみると、市の担当者は「同意を得てやっていたという認識がある」と主張。

さらに、なぜ1日1000円なのか問いただすと、男性は生活保護を受ける前に借金を抱えていたこと、過去にギャンブルをしていたことなどから、市が金銭管理をしていたと話します。

市側は、支給方法についての意思確認は口頭で行われ、同意があったといいますが、これに対し、男性はこれまで何度も、「1000円では生活できない」と訴えてきたと返します。

男性は10月に司法書士とともに市福祉事務所を訪れ、未支給分を受け取ることができました。

持病のある受給者に毎日“ハローワーク”

“求職活動”を支給の条件としていた市の対応について、男性の代理人で群馬司法書士会の仲道宗弘副会長は、「病気がある男性に対して、毎日ハローワークに行かせるのは過剰」として、市に対して、運用改善を求める要請書を提出しました。

本来7万1000円支給されるはずの生活保護費が、約半分の額しか支給されていなかったことについては、市側は「債務者や浪費家の場合、金銭管理のため預かるケースがある」と主張していますが、生活保護の元ケースワーカーでもある、花園大学の吉永 純教授によると、「国が決めている1カ月の生活費の半額程度しか渡さず保留する根拠はない」、「違法性が高い」といいます。

今回の対応について、市の担当者を取材すると、個別のケースについては答えられないとしたうえで、「ハローワークに行った証明と引き換えに、生活保護費を支給することはない」と、男性の主張を一部否定。そのうえで以下の通り回答を寄せました。

群馬・桐生市の担当者:
社会復帰を目指した“生活指導”の一環で、本人の同意を得て適正に行っているが、説明責任が果たせていなかった。今後は、口頭での約束ではなく書面で交わすようにしたい。
(めざまし8 11月23日放送)