福岡市博多区の住宅街でイノシシが出没した。イノシシは約5時間にわたり逃走劇を繰り広げ、その後、捕獲された。
「まさかここで…」生活圏内にイノシシが出没
2023年10月30日午後9時ごろ、福岡市博多区井相田で撮影された映像には、ライトを照らして、草が生い茂っている用水路をのぞき込む警察官たちが映っていた。
この記事の画像(11枚)いったい、用水路に何がいるのか?
物々しい雰囲気の中、ガサガサと暗闇から突如出てきたのはイノシシ。周りが音を立てて追い込むが、イノシシは用水路から脱出しようと何度も斜面を駆け上がろうとする。動画の撮影者は、「イノシシはパニックになっているように見えた」と話す。
用水路から住宅街に出てしまうと住民に危害を加えるおそれもあるため、一刻も早くイノシシを捕獲しようと警察が持ってきたのは、大きな網だ。複数の警察官たちが連携して網を広げ、イノシシを捕まえようとするが、なかなかうまくいかない。
結局、イノシシは捕獲用の網をすり抜けてこの用水路から、逃げてしまった。
大捕物から一夜明け、現場を訪れてみた。イノシシが出没した水路の周りは、マンションや会社のビルが数多い市街地だ。
目撃した人:
この付近で出たのは初めて。まさかここで出るとは…。この辺は子どもがいっぱいいるので、被害がないように注意しないと
警察によると、イノシシはこの用水路からさらに1km離れた大野城市まで逃走。警察官が発見して捕獲する際に車止めのポールにぶつかり、その後、死んだという。周辺の住民にけが人はいなかった。
“4月から6月”が活発になる時期
住宅街や都市部で相次いで出没するイノシシ。
北九州市で10月30日に撮影された映像には、3頭のイノシシが並んで住宅街の道路を駆け抜けて行く姿がとらえられていた。
また2018年には、福岡市西区のJR今宿駅近くでも―。
ウロウロする一頭のイノシシ。そして、次の瞬間。「うわ!」「危ない、危ない、危ない!」と住民が騒ぐ声が―。イノシシが突然、道路を歩いていた男性に向かって突進したのだ。
転倒した男性に、イノシシは何度も襲いかかり、男性は左足の太ももを噛まれ、13針縫うけがをした。
このほかにも、2019年、2020年と頻繁に生活圏内に現れたイノシシ。なぜ出没が相次いでいるのか、福岡市のイノシシ対策を担当している松本信一課長に聞いた。
福岡市農林水産局総務農林部 イノシシ等地域営農対策担当・松本信一課長:
4月から6月に生まれたイノシシが成長して、活発に動き出す時期ではある。生息地から何らかの理由で迷い込んで、今回、市街地に出没したというケースだと考えている
これからの季節、動きが活発になるというイノシシ。福岡市は「目撃しても絶対に近づかないように」と呼びかけている。
(テレビ西日本)