フリースクールについて「国家の根幹を崩しかねない」「不登校は大半が親の責任」などと発言した滋賀県東近江市の小椋正清市長が定例会見で、保護者などに対し「傷つけた」として謝罪した。また、市内にフリースクールがないので支援をしていないと発言した後に、実際には2つあることが分かって謝罪する一幕もあった。

日本の国力が弱体化「強い子どもを」

25日の定例会見で小椋市長は、日本の国力が弱体化し、国際競争力が低下しているとして、国力の回復をする政策にとりくむことの重要性を強調し、「強い子どもを作っていかなければいけない」という思いのもとで、今回の発言になったと説明した。

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「学校に行きにくい子ども、居場所のない子どもに対して機会を与える施策は精一杯推進してきましたが、文部科学省から親御さんを支援するようにという方向が示されたときに、現時点でのフリースクールが、はたして義務教育を補完する役割を持っているのだろうかという疑問が始まりです」と述べ、自分が批判したいのは国や県で、体制をしっかりと設置したうえで支援の呼びかけをしてくるべきであるのに、現状のままで支援するということに対して抵抗があると話した。

「傷つけた…深く反省して」と謝罪

その上で、フリースクールに行かざるをえない子どもの保護者や運営者に対する謝罪の言葉を、以下のように述べた。

小椋正清市長:
保護する子女に対して普通教育を受けさせなければならないと義務付けがあるわけです。親しか学校にやらせるアクションを起こす存在は他にないということです。それが短絡的に、『その責任の大半は親だ』という言葉に結びついてしまいました。不登校の原因が親であると決して言っていない、そう思っていないんです、自らが。これは社会の問題なんです

小椋正清市長:
結果として、フリースクールに行かざるを得ない子の保護者のみなさん、そしてフリースクールを運営しているみなさん、そういう方にとって私の配慮の足りないワンフレーズで伝わってしまったということに対して、非常に傷つけることになって、これは深く反省して謝罪いたしたいと思います

一方、一連の発言を撤回するかどうか問われると「信念をもって話した」などとして、撤回はしないとした。

東近江にフリースクールはない… 2つあるって

また、フリースクールの現状に関して問われ、「フリースクールの現場は行ったことあるか?」との質問に対し、以下のように述べた。

小椋正清市長:
(行ったことは)ありません。実は、東近江は支援してないんだけど、支援する必要がないからしていないんじゃない、(施設が)ないから、してないんですね。そういう理解をしている

市長がこう答えた直後に、市の職員が小声で何かを市長に伝え、市長は次のように発言を訂正した。

小椋正清市長:
(フリースクールは)2つあるって。教育委員会。これは私の勉強不足、認識不足。すみません

フリースクールの実情についての認識不足が、思わぬ形で露呈してしまった小椋市長。会見前日の24日には、関西テレビの取材に応じ「(フリースクールは)教育になってない。言い方悪いけど、遊んでいるみたいな。安易なんです。一言で言えば。『僕もフリースクール行きたい』と言ったら、義務教育というカテゴリーが雪崩現象を起こして、教育がおざなりになってしまう」と話していた。

小倉市長は、自身に対し抗議文を提出している滋賀県フリースクール等連絡協議会と27日に面会する予定だ。

(関西テレビ「newsランナー」10月25日)

関西テレビ
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