栄養的にも経済的にも優等生の「豆腐」。長年、日本の食卓を支えてきたが、街の豆腐店の数は減少傾向に…。逆風の中、創業130年目を迎える広島県北部の老舗豆腐店が広島市内に出店し新たな可能性を追求している。
遠方から客が訪れる老舗豆腐店
県北部の三次市三良坂町にある「佐々木豆腐店」。創業1894年(明治27年)、5代にわたって手作り一筋を貫き、2023年で130年目を迎える老舗豆腐店だ。
この記事の画像(13枚)国産100%の大豆で作られる豆腐はきめ細やかで大豆の風味が感じられる。
また、人の手で揚げるふっくらと香ばしい油揚げや厚揚げを求めて広島市内から訪れる客も多い。豆腐に味を付けて一晩寝かせた「豆腐のから揚げ」など、惣菜も人気だ。
県内の豆腐店は10年で半分以下に減少
しかし、原材料費などの高騰が街の豆腐店を直撃。広島県内の豆腐製造業者の数は減少し、2012年に32軒あった事業所が2021年には13軒と10年間で半分以下になってしまった。
取材記者:
街の豆腐屋さんは少なくなりましたね
佐々木豆腐店 5代目・佐々木猛瑠 社長:
特にこの3年くらいで、ずいぶん減りましたね
県内で豆腐店が減少する中、「佐々木豆腐店」は10月17日、創業以来初めて広島市内に販売所をオープンさせた。
オープン初日、多くの商品を積み込み、新店舗へ配達。
佐々木豆腐店 5代目・佐々木猛瑠 社長:
雪が降ったりすると来られないお客さんもいます。配達が多少大変でも、こういう手作りのおいしい豆腐が求められているということを何年も感じていたので
三良坂町から車で約1時間という長い道のり。それでも広島市内に出店することで新しい可能性を感じている。
待ち望んでいた客が開店前から行列
広島市中区の「佐々木豆腐店 西十日市出張販売所」に到着。佐々木社長が棚に商品を並べていく。こだわりの木綿豆腐と絹豆腐は一丁280円。大豆と天然にがりだけを使い、手間をかけて作られている。
(Q:何丁持ってきましたか?)
佐々木豆腐店 5代目・佐々木猛瑠 社長:
全部で120丁くらいです
取材記者:
強気ですね!
豆腐の惣菜や弁当なども販売され、スイーツでは無調整豆乳、卵、砂糖というシンプルな材料で作られた「豆乳プリン」が定番。
ふと店の前を見ると、開店前からすでに行列ができ始めている。
お客:
広島市内に店舗ができて、来てみたいなと思って寄ってみました
お客:
オープン前から楽しみに待っていました。うちは特に大豆系が好きなので、豆腐に厚揚げに…
オープン初日、強気に思えた豆腐120丁を含め、商品は午前11時50分の開店から約1時間でほぼ完売。
佐々木豆腐店 5代目・佐々木猛瑠 社長:
まだ実感があまりわかないがすごくうれしい。ほっとしました
オープンから数日経っても店の外まで行列ができる状況で、午後1時ごろには売り切れてしまうという。街の豆腐店に逆風が吹く時代、130年の伝統を掲げ、老舗豆腐店の挑戦が始まった。
(テレビ新広島)