「昔は安かったんや、いっぱい獲れてのぅ。ここら辺では畑の肥料にするくらい獲れてたんや」地元の人がそう話すのは、かつて福井で豊富に獲れていた「水ガニ」。ズワイガニの中でも比較的、手頃な値段であることから“庶民の味”として親しまれてきた。今季は悪天候の影響で解禁日から1日遅れで初競りが行われた。
食べやすく値段も手頃な“庶民の味”
2月21日午後6時。福井・坂井市の三国港市場には競り人の声が響いた。「2万、2千、3千…田島!」次々と競りにかけられていたのが、水揚げされたばかりの水ガニ。
関係者によると解禁後の初日であることや3連休直前であることなどから、去年よりも2割ほど高い値が付いた。
水ガニとは、脱皮して間もない甲羅が柔らかい雄のズワイガニのこと。水分を多く含み、身がズボッと抜けて食べやすいことから、県内では「ズボガニ」と呼ばれている。値段も比較的手頃なことから、長年この時期の庶民の味として親しまれてきた。
競りの翌日、三国町内の鮮魚店には水ガニがずらりと並んだ。店を訪れた客の中には、県外から足を運んだという人の姿も。
「これズボッて抜けて食べやすい」「値段も安いし。甘くておいしいじゃないですか」と食べやすさと味を楽しみにしているという声が聞かれた。
資源保護で短期間“限定”の味
ズワイガニ漁は毎年11月6日に始まり、雄は翌年の3月20日まで漁の期間があるが、その中でも水ガニ漁は水産資源の保護を目的に、期間の最終盤となる2月19日に解禁され、漁期が限定されている。
かつては肥料やおやつとして食べる程、豊富に獲れていたという水ガニだが…地元住民は近年は「だんだん獲れなくなって、高価になってきた」と変化も語る。
県内のスーパーを取材すると、店頭に水ガニが並ぶ店は確かに少ないのが現状。

ただ、2月28日と3月7日には、福井市内の市場で水ガニフェアが開催される予定。
水ガニを含むズワイガニ漁は3月20日まで行われる。
