8月下旬に静岡市の中心部などで相次いで確認された落書き被害。警察は9月19日、このうち葵区の駐輪場の壁に落書きをした疑いで19歳の男を逮捕した。男は容疑を認めた上で、余罪もほのめかしているという。
静岡市中心部で10カ所以上の被害
8月30日朝。静岡県庁や静岡市役所からほど近い場所にある公衆トイレで、壁に落書きがされているのを市民が見つけた。壁全面に図柄や線のようなものが描かれているが、何を意味しているのかはわからない。
この記事の画像(8枚)ここは葵区にある駿府城公園。言わずと知れた徳川家康の終の棲家・駿府城があった場所で、公園内にある飲食店の店長も「大河ドラマの影響で人が増えているだけにみっともない」と嘆いた。
またトイレの壁だけではなく、公園に設置されたベンチにも「宇宙人」との文字が…。
ただ、被害はこの2カ所にとどまらない。
静岡市役所に設置された庁舎の案内図にも謎の落書きが確認された。一部異なるところもあるが、公衆トイレの落書きと見比べてみると、どことなく似ているようにも見える。
市によると、これ以外にも静岡市中心部では計8カ所で落書きが見つかり、職員が除去に追われた。
難波喬司 市長は「市民の税金で直すことになるので、決してそういうことはしないようにしてほしい」と苦言を呈し、市民も「情けない」と斬り捨てた。
国の登録有形文化財にも落書きが
こうした中、静岡市役所から数キロ離れた安倍川橋でも複数の落書きが見つかっていたことがわかった。被害に遭ったのは左岸側の橋脚部分で、8月28日に静岡河川事務所の職員が見つけたという。
落書きは3カ所にわたり、赤や黒の塗料でハートマークや英語などの文字が書かれていた。安倍川橋は2023年で建設からちょうど100年を迎え「旧国道1号における自動車の往来を切り拓いたこと」などが評価され、8月7日に国の登録有形文化財に登録された矢先の出来事だった。
19歳の男を逮捕 余罪もほのめかす
被害の発覚から約3週間。静岡中央署は、8月29日午後8時半頃 葵区にある市営駐輪場の壁に黒のスプレー塗料を使って落書きをした建造物損壊容疑で、自称・引越し作業員の男(19)を逮捕した。
防犯カメラの映像解析や周辺への聞き込みから男の犯行と断定し、男は「落書きをしたことに間違いはない」と容疑を認めた上で、同日に別の場所でも複数の落書きをしたことをほのめかしているという。
このため警察は余罪の立件に向けて裏付け捜査を進めているが、安倍川橋の落書きについては犯行日時も違うため、別の人物による犯行とみている。
静岡市は男の逮捕を受け「今後、反省の態度を示しているか確認した上で落書きの除去や修繕に要した費用を請求するか判断したい」としている。
(テレビ静岡)