プラスチックごみを原料にした固形燃料の開発を佐賀市のある企業が進めている。処分ではなく、脱炭素にも貢献する“商品化”を目指していて、新たな環境ビジネスの可能性として注目されている。

漂着した“プラスチックごみ”を回収

海岸に漂着した、大量のプラスチックごみ。

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5月、佐賀・唐津市の海岸で漂着したごみを拾い集めるボランティア活動があり、地元の漁業者など10人余りが参加した。

参加した女性:
生物に与える影響とか考えたら、ちょっとでも自分でできることを手伝いたいと思って

参加した女の子:
いろんなごみがありました。ペットボトルが多い

参加した漁業者:
大型船のオイルが入ったようなポリタンクとか、養殖の網とか。汚れを落とすためのポリタンクが流れてきている

固形燃料「RPF」とは

集められたさまざまなプラスチックごみは処分されるのではなく、今後あるものに生まれ変わる。

NPO法人 街交流ネット唐津・千々波行典代表理事:
県内の産廃処理施設でRPF、固形燃料にします

RPFとは、産業廃棄物のうちリサイクルが難しいプラスチックなどを原材料とする固形燃料のこと。RPFを燃料として使うことで石炭と同程度の熱量を持ち、安価に調達でき、化石燃料を使う時よりもCO2排出を削減できるといったメリットがある。佐賀県では年間9万4,000トン余りのプラスチックごみが捨てられているという。

ごみが“商品”に生まれ変わる

産業廃棄物の処理を行っている佐賀市の会社では、RPFを作るための施設の整備が進められている。

新たに機械を導入し、9月からの稼働を目指していて、1時間あたり2トンのRPFの生産を目指す。

佐賀クリーン環境・篠原和広専務:
去年の4月に廃プラスチックを各自治体とか排出事業社の皆さんにリサイクルをしなさい、再商品化しなさいという新しい法律ができたものですから

新しい法律とは、2022年4月に施行された「プラスチック新法」。プラスチックごみをただ焼却処分するのではなく商品としてリサイクルしよう、というのが法律の柱になっている。

佐賀クリーン環境・篠原和広専務:
それを契機としてビジネスチャンスがあると思い、事業を計画した

新たな環境ビジネスへ

RPFを使うことは企業のイメージアップやコスト削減にもつながるということで、すでに製紙会社などから引き合いがあり、手ごたえを感じているという。一方、こんな悩みも。

佐賀クリーン環境・篠原和広専務:
RPFを大量に作るには、この廃プラが余計必要なんです。今の量では足りない

現状、回収しているプラスチックごみは事業所から回収しているものが多く、今後供給を増やすためにも、家庭から出るごみを回収している自治体への“営業”も必要になってくる。また、プラスチックが分別されていない自治体もあるため、安定的に生産するためにはごみを出す段階での「分別」も不可欠だ。

佐賀クリーン環境・篠原和広専務:
ごみの量も減るし、脱炭素にも大きく貢献するので、分別の大切さを周知していただければ、もっともっとごみを分けていただけるのではないか

“限りある資源を循環的に利用し、石油などの天然資源の消費を抑える”ため、今後どのように広がっていくのか期待が高まる。

(サガテレビ)

サガテレビ
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