陸上自衛隊の射撃場で隊員3人が死傷した事件で、送検された18歳の隊員の男は訓練中に勝手に銃弾を装填し、それを止めようとした隊員に発砲したうえ、移動しながら次々と隊員に向けて発砲していたことがわかった。

死亡した菊松1曹への発砲は2度に渡って…

6月14日、岐阜市にある陸上自衛隊の日野基本射撃場で、3人が死傷した事件。

18歳の隊員の男が、隊員3人に向け自動小銃を発砲し、菊松安親1曹(52)と八代航佑3曹(25)が死亡、原悠介3曹(25)が大ケガをした。捜査関係者への取材で、当時の男の動きがわかってきた。

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訓練が行われていた時、男がいたのは射撃の順番を待つ待機場所だった。そこで男は勝手に銃弾を装填し、それに気付いた八代3曹が「やめろ!」と制止すると、1発目を脇腹に発砲した。

男は弾薬係がいる後方に移動し、菊松1曹の胸に発砲。

さらに後方に移動しながら、原3曹の太ももに発砲した。

男の凶行は止まらず、再び菊松1曹に発砲したという。

その後、別の隊員によって取り押さえられたが、その際にも複数発発砲したとみられている。

本来、銃弾を装填してはいけない待機場所で始まった凶行。捜査関係者によると、男は最初に撃たれた八代3曹について、こう供述しているという。

<隊員の男(18)>
「(八代3曹に)お前何やってんだ、やめろ!と言われ、自分の行為を邪魔されると思って撃った。その人(八代3曹)に恨みはなかった」

また、八代3曹への殺意を否認しているという。

<隊員の男(18)>
「足を狙った。当たりどころが悪かったから死んだ。殺すつもりはなかった」

男が特定の隊員を狙ったかどうかはわかっていない。

森下泰臣陸上幕僚長(15日):
この3名については、直接個々に隊員を指導する立場ではなかったという認識ですので、何か射場で個々に指導を受けたのかどうかというのは把握できない

男を直接指導する立場ではなかった3人がなぜ狙われたのか。動機は明らかになっていないが、男の同級生に取材を進めると、その人柄が見えてきた。

男の高校の同級生:
ムードメーカーだった、陽気な感じでしたね。あまり暗いところはなかったので、基本的に陽キャラみたいな

高校時代、放送部で部長を務めるなどムードメーカーだったという男。幼い頃から自衛隊への憧れを語っていたという。

ーー自衛隊員になりたいと言っていた?

男の小学校の同級生:
はい。本当に自衛隊に憧れていたので

男の高校の同級生:
「自衛隊員になりたい」って言っていたんで、割と高校入って最初の段階で進路は決まっていたと思うんですけど。3年に入ってから、そういう試験の勉強とかはいろいろしていましたね。駐屯地への見学も1回だけですけど一緒に行ったりしましたし

憧れの自衛隊に向かって努力をしていたという男。しかし、次のような証言もあった。

男の小学校の同級生:
中1までは一緒にいて、途中から不登校になって、そこからいなくなった感じですね。(どこに行ったかは)僕も分からないです

ーー不登校になった理由は?

男の小学校の同級生:
聞いたことがないです

ゲームやエアガンなど銃への興味も

男の高校の同級生:
(男は)高校の時は里親のところで育ててもらった

銃への興味をうかがわせる場面もあったという。

男の高校の同級生:
シューティングゲームだったりとか、銃を撃つ流行りのゲームとかをよくやっていました

男の小学校の同級生:
エアガンが多分好きだったと思います。BB弾があったので

死亡した八代航佑3曹(25)は、岐阜県池田町の出身。4人きょうだいの三つ子の1人で、幼い頃から仲が良かったという。

八代さんを知る近所の人:
三つ子ちゃんはいつも一緒でした。仲が良い3人で。一番航佑さんが活発で元気なイメージで、「近所の末っ子」のような感覚です。まさかだった。知っている子だったので本当にショックです

なぜ尊い命が奪われてしまったのか。自衛隊と警察は、男の動機など事件の経緯を慎重に調べている。

(東海テレビ)

東海テレビ
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