自分がいる場所について調べてみよう!

東北地方まで梅雨入りし、大雨のニュースも増えてきました。2019年の台風15号による千葉県の被害や大規模停電、また関東甲信や東北地方に甚大な被害をもたらした台風19号も、まだ記憶の中に焼き付いています。

避難を促すアラートが携帯電話からひっきりなしに鳴った恐怖。いつ、どこで、誰が被災するかわかりません。もちろん、自分自身も。しかし、”喉元過ぎれば”・・・で、どうしても時間の経過とともに気も緩みがちになってしまいます。2020年は、さらに新型コロナウイルスにも備えておかなくてはいけません。

そこで、「With コロナ時代」にどんな防災・減災対策をすればよいのか、防災士ハッチー、そして木村拓也アナウンサーと一緒に考えていきましょう。

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防災士ハッチー:
はじめまして。防災士のハッチーです。みんなで一緒に「今大切なこと」を考えていこうね。わからないこと、心配なことはなんでも聞いてね。

木村拓也アナウンサー:
ハッチーよろしく!ハッチーは、さすが防災士だけあって、いつも防災頭巾をかぶっているんだね。似合っているよ。大雨の時期は災害が多くなるから、もちろん何も起きないことを祈りつつ、今のうちから準備できることはしておきたいですね。

佐々木恭子アナウンサー:
それに「コロナリスク」も考えていなくてはいけないですし。例年よりさらに事情が複雑なんですよねぇ。いざ避難しなくちゃ!となったときどう考えればいいのか、ということから考えましょう。

防災士ハッチー:
内閣府から出された避難の指針のチラシは、もう見たかな?
まずは、コロナ禍にあっても、自分が危険な場所にいる場合は、ためらわずに避難することが原則だよ。それを肝に命じたうえでただ、この指針の1つ目と2つ目の項目に注目してみよう。
「避難とは、難を避ける」こと。
当たり前のようだが、これはなかなか意味深い。台風や大雨のように、ある程度災害の予測がつくものの場合、どうやったら難を避けることができるのか、事前に自分で考えておかなくてはいけないんだ。

内閣府から出された避難の指針(内閣府HPより)
内閣府から出された避難の指針(内閣府HPより)

すぐに家から逃げるという選択だけではないんだよ。
【安全な場所にいる人は避難場所に行く必要はありません】
【安全な親戚・知人宅に避難することも考えてみましょう】と指針にあるでしょ。
それも避難の選択肢なんだ。となると、大切なのは、自分がどんな場所にいるのか、事前に知っておくことなんだ。

防災士ハッチー:
さて、自分がいる場所が安全かどうかって、調べたことはあるかな?
国土交通省が運営している「ハザードマップポータルサイト」を検索してみれば、地震、津波・高潮、土砂、浸水など・・・その場所がどんな災害が起こりうる可能性があり、どれほどの被害になりうるのか、どのくらいの範囲に及ぶのか、詳しくわかるんだよ。

早速「ハザードマップ」を検索してみよう!

木村アナ:
防災の基本は、「自分の命は自分で守る」こと。本当に、まずは「自分で自分の身を何とかしようとする意識」をもっておかなくてはいけないですね。

佐々木アナ:
自分の命がなければ、人も助けられないですからね。何かあってもすぐに体が反応して動くように、準備をしておかなくちゃ!

防災士ハッチー:
その通り!ではまず、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」を検索してみよう。

木村アナ:
検索すると大きく二つに分かれていますね。

佐々木アナ:
「重ねるハザードマップ」と、「わがまちハザードマップ」。
「重ねるハザードマップ」の方は、防災に役立つ災害リスクの情報が、調べたい場所の地図上に重ねて表示でき、「わがまちハザードマップ」は、が全国の市町村が公表している地域の防災情報が検索できます。

国土交通省 「ハザードマップポータルサイト」より
国土交通省 「ハザードマップポータルサイト」より

木村アナ:
「わがまちハザードマップ」でフジテレビを調べていきましょう。東京都港区を入れてみると、何が調べられるか一覧になっていますね。この1ページだけでも、すごくたくさんの情報が詰まっていますね。。津波被害のページを見てみると、防潮施設が全て健全で液状化が起こっていないケース、防潮施設がすべて損傷して液状化しているケースに分けて想定されていて、避難できるビル一覧も記載されています。

「わがまちハザードマップ」で東京都港区をクリックするとこの画面(国土交通省HPより)
「わがまちハザードマップ」で東京都港区をクリックするとこの画面(国土交通省HPより)

佐々木アナ:
フジテレビのある台場エリアを拡大してみると・・・津波に関しては、一目見てわかるような色が塗られた津波のリスクは記載されていないようです。そして、フジテレビの近くに避難ビルが2つあるのもわかります。

港区の津波ハザードマップ(港区HPより)
港区の津波ハザードマップ(港区HPより)

木村アナ:
そして、梅雨に入って気になる大雨の浸水を調べてみると・・・港区の中でも、今度はエリアが細かく分かれていますね。芝、麻布、赤坂、高輪、芝浦港南。台場も含まれる芝浦港南を検索すると・・・。

佐々木アナ:
これはまた、避難所のみならず、土のうを提供している場所、古川の氾濫が想定されている地域・・・など、細かく記載がされていますね。今まで自宅のハザードマップは見たことがあったけれど、ピンポイントで色分けの区分ばかり気にして、周りの環境がどうなっているのか、よく調べていなかったなぁ・・・。それに、どこで被災するかわからないのだから、職場の周りの環境も知らないと、いざという時あたふたしてしまう・・・。

「ハザードマップ」をどう活用する?

木村アナ:
そうですよね。ハザードマップって、「調べる」のが1つ目のステップ、そしてそれを「活用する」のが次のステップですね。そのあたりはどう考えればいいんでしょう?

防災士ハッチー:
そう!調べただけで活かさないのはもったいない。まず、自宅や職場、学校など、自分や家族がよくいる場所の被害予測を確認しておこう。そして、被害が想定されるとしたら、その場所から災害の種類に応じて、どんなルートで避難するのがいいのか、どこへ避難するのが確認しておくといいね。

例えば、港区の浸水ハザードマップを見てみよう!

港区港南地区の浸水ハザードマップ(港区HPより)
港区港南地区の浸水ハザードマップ(港区HPより)

浸水の場合は、冠水しそうな場所を避けて避難所へいけるルートを確認しておく必要があるんだよ。津波の場合は、最寄りの高台や、頑丈で高い避難場所となるような建物を確認しておき、そのルートを確認しておきたい。家族と一緒に、実際にそのルートを歩いて共通のイメージを持つことも大事だし、家族構成や年齢によっても状況は変わるので、それぞれ「自分で」考えて準備しておくことが大切になってくるんだ。

港区のハザードマップには万が一の際の避難ビルの表示も(港区HPより)
港区のハザードマップには万が一の際の避難ビルの表示も(港区HPより)

佐々木アナ:
つくづく、何かが起きてから慌てて調べるのではなく、事前に見ておかなければならないということが良くわかります。たくさんの情報量を受け取って、一瞬で咀嚼することはなかなか難しいですからね。自治体によって冊子になっているものもあれば、ホームページからそのままダウンロードできるものもあるので、まずは、情報を取りに行く!ことですね。

防災士ハッチー:
そう!情報は「取りに行く」。そうでないと、誰も持ってきてはくれません。そして、それをどう活かすか。内閣府がまとめた、台風19号等による避難をめぐるアンケート結果によると、ハザードマップを「見たことがある」人は75.5%いる。その中には、それを避難の参考にしている人もしていない人もいる。「見たが、参考にしていない」人のうち、自宅が浸水想定地域に含まれているかどうかわからない人が27.7%。情報をどう自分のものにするか、が課題になってくるんだ。

木村アナ:
今回ハザードマップポータルサイトを見てみると、サイト自体の使い方も説明されていて、どうやって自分が必要な情報に触れられるか、詳しくわかるようになっていますね。現在の状況だけでなく、その土地の歴史や成り立ちも知ることができる。

佐々木アナ:
そうね!情報は膨大にあるからこそ、落ち着いて時間のあるときに調べて、特に高齢者やお子さんのいる家庭では、そもそも避難が必要かどうか、必要となればどういうルートがより安全なのか、作戦会議をしておいた方がいいですね。

我が家は二世帯同居で、高齢者も小学生の子どももいるのだけれど、昼間はバラバラに過ごしていて、どこを避難所とするか、までは話し合うけれど、そのためにどんなルートで進むのがいいかまでちゃんと話し合ったことはなかったですね。

ただ・・・今回調べて見て思ったのは、いざ!本当に危機が迫ったときに、ゆっくりと検索する猶予はないから、「このページだけ見れば全てがわかる」ようなシンプルにまとまったものがあると、さらにどの世代の人にとっても見やすいものにはなるかもね・・・・。

防災士ハッチー:
測量の精度などはもちろん上がっているが、ハザードマップといっても完璧なものではない。想定以上のことが起こることも、もちろんある。だからこそ、今、できることを大切に。気づいたら、その時にすぐ始めてみよう!

佐々木アナ・木村アナ:
はい!早速。

(次回は、「見直そう!防災グッズ」のテーマでお伝えする予定です)

【執筆:フジテレビアナウンサー 佐々木恭子】
【監修:防災士 気象庁担当記者 長坂哲夫】
【防災士ハッチーイラスト:さいとうひさし】

佐々木恭子
佐々木恭子

言葉に愛と、責任を。私が言葉を生業にしたいと志したのは、阪神淡路大震災で実家が全壊するという経験から。「がんばれ神戸!」と繰り返されるニュースからは、言葉は時に希望を、時に虚しさを抱かせるものだと知りました。ニュースは人と共にある。だからこそ、いつも自分の言葉に愛と責任をもって伝えたいと思っています。
1972年兵庫県生まれ。96年東京大学教養学部卒業後、フジテレビ入社。アナウンサーとして、『とくダネ!』『報道PRIMEサンデー』を担当し、現在は『Live News It!(月~水:情報キャスター』『ワイドナショー』など。2005年~2008年、FNSチャリティキャンペーンではスマトラ津波被害、世界の貧困国における子どもたちのHIV/AIDS事情を取材。趣味はランニング。フルマラソンにチャレンジするのが目標。