南海トラフ地震や日向灘地震など、大きな地震への備えが文化財に対しても進められている。宮崎県国富町のお寺にある国指定の重要文化財、阿弥陀三尊像。この貴重な仏像を地震から守るための免震工事が7月に行われた。

この記事の画像(20枚)

宮崎県国富町の犬熊山萬福寺(いぬくまやま まんぷくじ)は、西暦803年、平安時代に建立された。

お堂には貴重な仏像が安置されている。

阿弥陀三尊像。鎌倉時代の1232年に安置され、国指定の重要文化財に指定されている。

萬福寺 永井義寛住職:
2024年の8月の地震(国富町・震度5弱)によって、仏像が向かって右側に回った状態だった。やはり地震があると仏像が揺れる。仏像の保護は、私の使命と考えている。

後世へ残すため「免震工事」を実施

免震工事当日、やってきたのは運びのプロ。日本通運・美術品梱包輸送技能取得士。

日本通運宮崎支店 後藤崇夫さん:
ここを触れば絶対大丈夫というところがないので、「ここが危ないんじゃないか」など、みんなで話しながら作業を進めていく。

萬福寺 永井義寛住職:
どきどきしている。当たり前にあった仏像だけど、弱い箇所とか傾いたら危ない場所とかがあるということを伺ったので、専門家に任せますけど心配している。

いよいよ、運搬開始。

移動距離は約20メートル。

緊張感が張り詰める中、作業が続く。

約1時間かけて、運搬完了。

日本通運宮崎支店 後藤崇夫さん
しびれますね。正直しびれます。熱い汗と嫌な汗と両方出たかんじで、とりあえず無事、仮に移設ができたのでほっとしている。

免震工事開始

アイディールブレーン 野中裕貴さん:
地震対策として免震装置を床に設置していく。

免震装置「ミューソレーター」。2枚のプレートがすべり、揺れを吸収する仕組みだ。

震度7相当の揺れで実験。敷いたプレート同士がすべり、地面の揺れを受け流す。

震度5以上の地震から効果を発揮し、震度7相当の地震が来たとしても震度4相当に軽減できるという。

約2時間かけ、お堂の床に免震装置を設置していく。

最後は動作テスト。

萬福寺 永井義寛住職:
お堂が揺れても、ここは残るんだろうなという感じがした。安心です。

アイディールブレーン 野中裕貴さん:
1番やりがいを感じる瞬間。地震が来た時にはこの免震装置がしっかり稼働して、大切なものを守っていければと思う。

仏像を元の場所に戻す。

萬福寺 永井義寛住職:
どきどきしたけど、しっかり納めていただいて安心した。感謝の一言につきる。ありがたかった。2032年で安置されてから800年になる。ひとつはそこを迎えるのが私の使命だと思っていたので、そこに対する安心感というのが大きい。800年が楽しみです。

(テレビ宮崎)

テレビ宮崎
テレビ宮崎

宮崎の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。