少子化を止めるべく、政府は「異次元の少子化対策」を打ち出しているが、 そのたたき台が3月31日に発表された。果たして効果はあるのだろうか…?

国とは別に独自の子育て支援施策を始めた自治体も…

出生数はピーク時の1949年には270万人だったが、 2022年は80万人を割り込み、過去最低となる見通しだ。

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「異次元の少子化対策」のたたき台が3月31日に発表された。その柱は「保育サービスの拡充」「働き方改革の推進」「経済的支援の強化」の3本だ。

例えば保育サービスについては、 保育所に空きがある場合、 働く状況を問わず誰でも利用できるようにする。

保育サービスを拡充することで、再就職やもう1人子供を作ろうと考えたり、育児疲れの軽減につなげようとしている。

保育士の配置基準は、1歳児であれば「6人に1人」を「5人に1人」に、4・5歳児は「30人に1人」を「25人に1人」にして、負担を減らそうとする案だ。

2つ目は「働き方改革の推進」。現在は、育休中の給付率は手取りの8割相当となっているが、男女ともに実質10割にして、ほぼ全額を受け取れるようにしようとしている。

また民間で約14%の男性の育休取得率を、2025年には50%、2030年に85%にすることを目標に掲げている。

3つ目が「経済的支援の強化」。学校給食費の無償化や奨学金の充実なども盛り込まれてはいるが、 今回は「児童手当」と「出産一時金」について注目した。

児童手当は現在「年収1200万未満の家庭」の「中学生以下」1人につき、「月に5000~1万5000円」が支給されている。

たたき台では児童手当については収入制限を「撤廃」し、 中学生以下を「高校生以下」に引きあげて「複数の子供がいる家庭は増額する」ことなどが打ち出された。

ただ、与党内でも、自民党の和田政宗議員が出生時の300万円をはじめ、 子供1人当たり1000万円を給付するくらいでないと現状は変わらないとも発言している。

これまでの施策はたたき台とされていて、政府は具体的な案を6月にとりまとめるとしているが、 4月から始まっているものもある。 それが「出産育児一時金」だ。 出産にあたり、原則42万円が全員に支給されていたが、これが50万円に引き上げられた。

出産一時金については、育児情報誌の編集長を14年担当した子育てアドバイザーの高祖常子さんによると、多くの病院では入院時に書く書類のひとつに 「直接支払い」の合意書類があり、 サインすることで病院側が申請をして、出産費用から出産育児一時金を差し引いて請求されているという。厚生労働省によると、 公的病院での出産費用は全国平均で約45万5000円とされている。

しかし今SNSでは、出産費用を8万円値上げして請求された、今回の増額分そのまま値上げされたという“便乗値上げ”があったという指摘もある。

病院側の負担も増えているという指摘もあるが、“便乗値上げ”について懸念もされている。

「異次元の少子化対策」の財源については、まだ明らかにされていない。数兆円ともされる大規模な予算が必要ともいわれているが、 自民党の茂木敏充幹事長は4月4日、年金・医療・介護・雇用といった 社会保険料の拠出を検討すべきと発言している。

また、国とは別に独自の子育て支援施策を4月から始めた自治体もある。

例えば三重県の桑名市では、国の施策で所得制限を超えた家庭の中学生や、対象外の高校生に、月5000円の支給を始めている。

愛知県では、愛西市が1歳児に5万円、 岐阜県の恵那市では、18歳未満に1万2000円分のプレミアム商品券を贈るといった施策が始まっている。

2023年4月5日放送

(東海テレビ)

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